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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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常人のとくらべると感知しにくいらしい。
 ただ食べ物絡みになると、チャクラは殺気と交わって忍びでなくとも感じ取れるようになるらしいが。

 けれど普通の術の使用が不可能であるというのはかなりの痛手だ。狐者異一族の血継限界(その名も食遁)と言うのは概ねが食事向きで戦闘向きではない。ツメに拾われたマナに紅丸が懐いたとしても、犬塚一族の秘伝の術を教えるわけにもいかなかった。ツメは厳しい声で言った。この子が大してお前の戦力になれるとは思えないよと。それでも。それでも彼女はいいと言った。
 犬を食うという思考はもとよりない。キバのように犬の言語を解するわけでもない。犬塚秘伝の術が使えるようになるわけでも、ない。それでも彼女はいいといった。
 “別にアタシが強くなれなくても、それでコイツが幸せになれんならアタシは構わねえ”
 初めて彼女がまともなことを言ったと思った。
 それから彼女は週に一回、紅丸に会いに来ている。

「おー紅丸ー。一週間ぶりだな。どうだ、一緒にドッグフード食べっか?」
「わん!」

 とは言え、紅丸が飢え死にしないか心配でならないキバだった。


 + 

 電気も水も止められてしまったアパートで、チャイムの音を聞いたマナは、また大家さんじゃねーだろーなとうんざりとした溜息をついた。覗き穴に目をあてると、そこにいたのはなんとアカデミーに於ける寡黙なクラスメート、油女シノだ。シノが用なんて珍しい、と思ってドアノブに手をかけると、どうやらシノが躊躇っているのようだというのが看てとれた。

「よっ、シノ。お前が用なんて珍しいな。どうした、明日は台風か?」
「……これを……」

 差し出してきたのは風呂敷に入った包みだった。うまそうな団子やら羊羹やらが入っている。目を強く輝かせ、涎をつつーっと垂らしそうになるマナに、何を怯えているのか畏縮気味にシノが言った。

「その……それをやるから、どうか奇壊蟲だけは見逃してくれないか……何故なら、奇壊蟲は油女一族にとって、大切な戦力であるからだ……」
「は? それがどうかしたのか?」
「いや、この間一楽の前を通ったとき、聞いてしまったんだ……その、お前とナルトとのやり取りを」

 そう言えば、奇壊蟲焼けば食えるのかなとか言っていたような気がする。
 
「別に冗談半分だからそんなに真に受けんでもよかったんだけど……ま、一応あがれよ」
「……その、今日は遠慮しておく――」

 言い終えない内にマナに部屋の中に引っ張られ、かくしてシノは電気も水もとめられたアパートの一室に入れられたのだった。

「ごめんなー、電気も水もとめられちまってよー。だからお茶も出せねーからな。あ、トイレ行きたくなったらお隣さんの借りろよな」

 よくもこんな不便きわまりない家に
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