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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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って彼が持つ食べ物を食べようとしていたからだ。弁当さえ取られかかって泣きついてきたチョウジのかわりに追っ払ってやるとマナは目元に涙を浮かべ、それでチョウジもシカマルも仕方なしといった風に、弁当を少しわけてやることにしたのだ。後でわかったのだが、マナのあれは嘘泣きだったらしい。確かにマナというのは食べ物の為ならどんな演技でもやってのける人間だった。

「おいマナ!」

 犬塚キバから声がかかった。ん? とマナが振り返る。

「お前まぁた無銭飲食したんだろ? まあ俺の知ったこっちゃねえけど、放課後はちゃんと来いよ! 姉ちゃんが俺に修行つけてくれるって予定だからよ」
「あーい」
「放課後? なあに、キバってばマナとデート?」

 いののからかいに、やめろよ、とキバはげんなりした顔をした。

「こいつが俺たち一族の誰かと恋人になった日には、犬塚一族は破産するぜ。今日はドックフード少し食わせてやるって約束なの」
「ドッグフードって」
「いい匂いするよな」
 
 真顔のマナに、呆れたと言わんばかりにシカマル、いの、サクラ、チョウジは溜息をつく。キバも額を押さえ、赤丸が「くぅん」と困ったような鳴き声をあげた。
  
 +

「ほら、紅丸。マナだぞ」
「わんっ」

 赤丸と同じ母から生まれた子犬であった。姿かたちも赤丸によく似たその犬は、名を紅丸と言った。
 本来は卒業したら、との約束だったが、母たる犬塚ツメの都合で早められることになったのだ。
 そんな約束をしたのはキバが赤丸とあって間もない頃だった。任務帰りに路辺で飢え死にしかけているマナをツメが見つけ、そしてその首根っこを掴んで帰ってきたのが始まりだった。

 その時のキバにとってのマナなど名字の正確な読み方さえわからぬただのどうでもいい少女の一人に過ぎなかったのだが、それから価値観がかわった。なるほどマナはくノ一クラスのドベだし、脳みそが胃にあるような奴だ。幻術もだめ、忍術もだめ、体術とて食べ物絡みでないとだめ。クナイや手裏剣は食べ物絡みじゃないと必ず外す。
 だけどマナは、いずれ強いくノ一になると、そう思った。それは直感だ。何の根拠もない。ただ彼女がクナイを振るうその姿が、そう思わせた。
 狐者異一族のチャクラには、“属性がない”。普通なら火、土、風、水、雷と五種類にわけられるのだが、狐者異一族のチャクラはそのどれにも属さない。ただその属性なきチャクラはそれはそれでまた普通のチャクラとは違った役割を果たす。
 普通の術の使用が不可能であるかわりに、そのチャクラは、“感知しにくい”のだ。いわば狐者異一族は感知タイプの忍にとっての天敵と言ってもいい。赤丸ですら、マナの強弱の判断がつかないと言ったほどだった。さすがに上忍ランクともなれば感知出来るらしいが、やはり
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