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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
1−1
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に。
 ――いや、ふざけるな。なんでオレがこんな奴にぼられねばならん

「断る」
「えーっ! “ここはリーの酔いを醒まさせたお礼だ”とかいってなんかぼったくらせてくれるのが筋じゃないっすか!?」
「ぶっ」

 テンテンが吹き出した。マナが“ここはリーの〜”のあたりで余りにも見事にネジの声色を真似て見せたからである。ネジは眉根に皺を寄せ、暫しそこに固まり――、そして一つの決断を出した。

「八卦六十四掌!!」

 マナの胸倉を掴み挙げて宙に飛ばし、それから未だに未完成である技を使用した。
 八卦六十四掌は本来は日向宗家のみに受け継がれる術であるが、ネジは現在独学と才能を以ってこの術の習得に励んでいる。未完成と言っても、チャクラの流れをコントロールする「チャクラ穴」を偶に外してしまうことがあるぐらいで、他はほぼ完成といっていいだろう。ただ、完璧主義者気味なネジは百回やって百回とも外さないようにならないと完成とはいえない、と思っているのだ。
 そして今、その技がマナによって完成された。

「二掌! 四掌! 八掌! 十六掌! 三十二掌! 六十四掌!」
「ぐえっ、あぐっ、ぶはっ、いでっ、ずおっ、うぬっ」

 奇妙な悲鳴を挙げていたマナが、六十四掌目を打たれ終わるのと同時に地面に墜落、頭をしたたかに打ち付ける。ぐったりした少女を見て、ネジはすっきりした。下忍になってからずっと溜まっていた様々な苛々がチャクラと化してマナに叩きつけられていく感覚。

「フッ」

 見方によっては意地が悪いともとれそうな(本人にとっては満足を意味する)笑みを零し、日向始まって以来の天才――日向ネジは、颯爽とその店を出て行った。

「ちょっと、ネ、ネジー!」

 ――ぺこぺこ謝る熱血師弟、地面に倒れる無銭飲食の少女と、苦労性な暗器使いを残して。
 
 +
 
「……ん?」

 昼食の時間。早くも弁当をがっつき始めたチョウジに呆れながら、シカマルは自分の弁当を取り出した。シカマルの弁当は母ヨシノの手によって紺無地の風呂敷で包まれていた。溜息をつきつつ、風呂敷の結び目を解こうとしていると――。
 上から何かが降ってきた。石っころだ。紐で結び付けられた石の表面には、なにやらべたべたしたものが塗られている。それが風呂敷に付着し、三秒後上へと引き上げられていった。

「いっただきー! この瞬間接着剤、すっげーマジで効果あんのな!」

 嬉々とした表情のマナが、天井に張り付いていた。
 チャクラ吸着での水面歩行、木登りや天井に張り付くことはかなり難しいのだと、父シカクに教えられたのを思い出して、めんどくせー、とシカマルは溜息をついた。これをテストの時にマナにやってみせろと言っても、きっと彼女には出来ないのだろう。彼女がチャクラ吸着
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