第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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る類まれなる拳法の一種だ。対する狐者異マナたち狐者異一族は、食べ物絡みの恨みがあるとチャクラが活性化し、怪力を発揮することで有名である。
しかし納得している場合ではない。ガイは素早くリーにかけよった。幸い、大して大きな怪我を負ってはいない。しかも先ほどの一撃で酔いがさめたようで、驚いた顔であたりを見回していた。
「リー! 大丈夫か、リー!」
「ガイ先生! ぼ、僕は一体何を……? っう、頭がくらくらする……」
テンテンがほっとしたような溜息を漏らし、ネジはふん、と見下すように鼻を鳴らした。一方マナは、チャーハンやらなにやら、他の客の食べ物に手を伸ばしだしている。先ほどのことについては全くの無関心だ。
「君、アカデミー生でしょ? どうしてここにいるの?」
チャーハンをがっつきながら頭を持ち上げると、テンテンがぱっちりした茶色の瞳でマナの顔を覗きこんでいた。
「んーと、サボりっす」
「……実際にサボりをするアカデミー生なんて、初めてみたわ」
「いやあ、それほどでも」
「……褒めてないぞ」
呆れた顔つきのテンテンに、照れくさそうに後頭部を掻くマナ。更にはネジからも突っ込みが入る。因みにガイは、後ろで店主やお客達にぺこぺこ頭を下げているところだ。
「お前、名前は?」
「マナっす」
「マナちゃんね。さっきはどうもありがとう。貴方のお陰で、リーはもう正気を取り戻してるわ。私はテンテンで、あのゲジゲジした眉のがロック・リー、さらに太い眉のがマイト・ガイ先生で、こっちのが日向ネジよ」
にっこり笑うテンテンに、りょーはいしました、とチャーハンを食べながらマナが言う。その頭を撫でるテンテンの傍でネジはふん、と鼻を鳴らす。
――テンテンの奴、こいつが気に入ったみたいだな
と知ったところで嫌な予感しかしない。先ほどのマナの行動――食べ物絡みの恨みでチャクラの活性化と怪力発揮、そして酔っ払いが酔拳で暴れまわっているのにも関わらず、のんきに他の客の食べ物を無銭飲食――を考えれば、マナが狐者異一族であるということくらいはわかる。以前図書館で借りた本に、動物図鑑みたいな仕様の、「狐者異一族の習性」という本があったが、それを見て「なんて厄介な一族なんだ」とばかり思った。
「ひゅうがねじ……あっ、そうだ、先輩も日向なんっすよね!」
「は? ……そうだが、何か」
「ネジ先輩! アタシにぼられてください!」
「「……はぁ?」」
――ぼらせる? オレが? こいつに?
いまいち状況が理解できない。普通、ぼられてくださいとか言ってくる人間がいるだろうか。そんな心算で近づいてくるような奴は山のように居ても、直接ぼられてくれと口に出すような奴が一体この世に何人くらいいるだろう。しかも冗談ではなしに、至極本気
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