第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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めた少女が阻止しようと躍起になっており、他の客達は怯えて引っ込んでいる。誰にも邪魔されることがないとわかったマナは大満足だった。
この年齢と額当てからして、アカデミーを卒業して下忍になって一年か二年くらいだろう。あと少ししたらアタシもこんな額当てつけるのか、とカレーを食べながらまじまじと見つめてしまう。
「きぃさぁまぁはぁ……人様のカレーを盗み、ひぐっ、してー……いいと、思っているのくぁあ!?」
暴れまわっていた少年が、今度はこちらに標的を向けた。どうやらマナが食べているカレーはその少年のものらしい。高く跳躍した彼の飛び蹴りが視界にはいってきた。
「危ない! 逃げて!」と、お団子頭の少女が悲痛な声で叫んだ。「やめろ、リー!」と、日向の少年が飛び上がって、リーというらしいその少年を押さえつけようと両腕にチャクラを纏わせる。リーに蹴り飛ばされて地面に蹲っていた担当上忍らしき緑色タイツの男も、「相手はアカデミー生なんだぞ!」と叫んでいる。常に未就学と誤解される自分が何故アカデミー生だとわかったのだろうかという疑問は打ち捨て、後ろに向かってジャンプする。
どんがらがっしゃーん! と派手な音を立ててテーブルがひっくり返り、上にのっかっていた皿やら何やらが地面に散らばった。マナがぽかーんという顔をする。
「っ、何してんのよ早く逃げなさい!」
「待て、テンテン!」
マナの方と駆け寄ったお団子頭の少女――テンテンは、長髪の少年、日向ネジによって制された。その目は、日向一族の血継限界――白眼を発動している。
「待てって、ちょっとネジ、あんた何言っ――?」
リーは二度目の回転蹴りを繰り出しているのに、待てなどいっていられるか。声を荒げて叫んだテンテンは、言葉を失った。
それは目の前の少女がアカデミー生にはおよそ相応しくない殺気を撒き散らし、尚且つ錘を足につけ、ネジにはまだまだ敵わないとは言え常人とは並み外れた体術を持つリーの、かなり重い蹴りを、痩せっぽちな片腕一本で食い止めていたからだ。
「よくもアタシの至福の時間を――無銭飲食のチャンスを――」
ぐっとマナの指先がリーの足に食い込む。
「奪ってくれたなァア!」
カッと目が見開かれ、マナはリーの足を掴み、リーの体を投げ飛ばした。店内の壁にぶつかるリーに向かって、箸を投擲する。ストストストッ、と軽い音をたてて箸が壁に食い込んだ。リーの体がずるずると落ちる。
「なっ! この子は――!?」
テンテンを始め、その場の客達全てが自分の目を信じられないでいたが……、ただ一人、狐者異マナの存在を知っている上忍――マイト・ガイだけは、なるほど、と納得していた。
リーの扱うそれは恐らく“酔拳”――ごく少数の者たちが、酒を飲んだ時にだけ発揮でき
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