第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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「変人」「悪い人」「イヤな奴」「死んでくれ」と様々なのだが、マナの場合は「食べ物をくれるかくれないか」によって決まる。つくづく単純な人間だ。
「……シノの周りにいるきかいちゅー? ってやつ? あれ、焼いたら食えんのかなあ」
キバの名前が出てこなかったことは火影がマナの教育にかなり気を遣ってくれたお陰だ。犬猫を食うという発想がないように育て上げられたマナは、赤丸を「大福みたい」と形容したりするものの、「食べたい」とは言わない。
「むー、日向家のお嬢様ヒナタの親友として金をぼったくるのも悪くはないんだけどなー、ヒナタアタシを見かけたら全力で逃走するし」
「マナが相手なら逃げられても仕方ないってばよ……って、イルカ先生? 顔が青いってばよ」
「え……そうか、いや、あはははははは」
青い顔のまま誤魔化し笑いをするイルカに、マナとナルトが懐疑的な視線を浴びさせる。流石に、「マナがヒナタの友達になる→マナがヒナタから金をぼったくる→日向宗家破産の危機→止むを得ず分家に借金→渋々金を貸す分家→借金されすぎてお金を貸すのを拒否する分家→古くから続く木の葉最強の一族の宗家破産宣告」の可能性に気付いてしまったとはいえない。
「んー、まあ今日はこれでお暇するわ。さっさと寝ねぇとお腹空いて眠れなくなるしな。じゃーな、ドーべ」
「じゃーな、きつねものい! さーて、残りのラーメンを食べるってばよ――って、あれ?」
カウンターに視線を戻すとあれおかしいな、どんぶりがない。イルカを見やると、彼も同じような状態だった。更に、先ほどまでマナが居た席を振り返ると、そこにはどんぶりが三つ重ねられている――
「――っきっつねものいぃいいいいいい!」
にししと笑いながら、狐者異マナは一楽を後にした。
+
「んー……お腹減ったぁ」
狐者異マナは、今日も今日とて食べ物を求めて放浪していた。担任が僅かに目を放した隙に、瞬身の術顔負けの神速でくノ一クラスを飛び出て約二時間。あと一時間半ほどで昼食の時間なので、その頃にはクラスメートの弁当を掻っ攫いにアカデミーに戻ろうと思っている。
「あれ?」
カレーがおいしいと評判の料理店で、なにやら一騒ぎがあるようだった。
――この騒ぎに乗じて、無銭飲食
そんな言葉が脳裏でちかちかして、マナの顔がぱっと明るくなった。するりと素早くその店の中にもぐりこむと、緑色の全身タイツを着た眉の太い少年が、酔っ払いのような千鳥足で歩き回っている――というか、店内を破壊しまくっている。酒でも飲んだのだろうか、と思いながら、マナは手近にあったカレーをとって食べ始めた。
その少年を、少年よりも更に眉の太い男性と、日向一族特有の白い瞳に白い肌、長い黒髪の少年と、黒い髪を二つのお団子に纏
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