第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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下げていったヒナタに、軽い口調で返すマナ。マナは同じドベであるナルトが落ちてしまったのに、自分は受験せずとも受かったのに、それでもなんとも思わないのだろうか。
「でもそりゃ仕方ねーだろ。ナルトはアタシとは違うんだよ。まっ、ナルトが試験に受からず同じ班になれる機会を喪失してしまったヒナタの落胆はわからんでもねーよ?」
「えっ、えっ、えっ!?」
からかうような声で言ってきたマナに思わず身を竦ませるヒナタ。かあっと全身の血が顔へ集まり、その所為だろうか、四肢の感覚が麻痺しだした。
日向ヒナタはナルトのことがすきだ。マナと並ぶ問題児でありドベではあるが、けして諦めず、前向きで底抜けに明るい。そのいつだって前を見つめている青の瞳が好きだ。美しい空の色が、好きだ。
「あっあああううっ、そんなことはないんだよ? えっとその、残念だなって気持ちは、あ、あるんだけどっ……」
上ずった声で言うもマナは相手にしてくれない。
「へー。同じ班になれねえことの落胆はないけど、残念だなって気持ちだけはいっぱいあるってか。へえ」
ニヤニヤ笑われて赤面して俯くヒナタを見ながら、マナは溜息をついた。
いくら恋愛に疎いとは言え、ヒナタがナルトを好きなことくらい一目瞭然だ。そしてそのナルトがサクラを好きで、サクラがサスケのことを好きなことも。
色恋とは全くつまらないものだと思う。食えないし報われない。つらいだけだとわかっているのに何故誰かを好きになるのか、全く理解できない。
ぐうと腹の音がなり、苺大福もとい紅丸が足元に擦り寄ってきた。
試験がないだけに卒業した感慨とかそういうのは何もない。
晴天を見上げて、マナは小さく溜息をついた。
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