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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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だが、まさかこんな結果を招くとは――
 マナが小瓶の蓋を開けるのと同時に、奇壊蟲たちが一斉にシノにくっついてきた。ガタガタと震えている。

「じゃーなー」
「……ああ」

 紅丸に同情のまなざしを向けられながら、シノはアパートを去っていた。

 +

 うちはサスケは咄嗟に目を逸らした。
 何故って目の前で、くノ一クラスのウスラトンカチがサスケが以前埋めたタイムカプセルを食べられるかどうか吟味していたからだ。

「――何してんだお前!」
「おーサスケか」

 サスケは長らく、うちはの敷地内に足を踏み入れていなかった。今日で卒業試験だ。だからというのだろうかどうだろうか、ただなんとなく訪れてみたのだった。試験を終えて亡き両親に報告をというのならわかるが、どうして訪れてきたのだろう。中忍でも使えるとは限らぬ火遁の術を会得しているサスケは自分が受かることはちゃんとわかっている。緊張の欠片もない。だから、見守っていてくださいとかそんな言葉をぬかしにきたわけでもない。
 もしかしたらそれはイタチへの執念だったのかもしれない。飛び級でアカデミーを早々に卒業してしまったあの男への。一族を滅ぼした、兄への。
 ただ、なんでこんなところにマナがいるのかはわからなかった。
 まだ兄を尊敬し愛していたころ、偶然兄がマナにせんべいを奢ってやっているのを見てやきもちをやいたことを思い出す。あんな男を敬愛していた、何も知らなかったあの愚かな自分に腹が立った。

「あのな、苺大福と散歩してたんだ」
「イチゴダイフクだと?」

 見ると彼女の足元にはクラスメートのキバのつれている犬、赤丸によく似た子犬が一匹いた。ただ糸目の赤丸とは違い、こちらの苺大福はぱっちりとした明るい青の目をしている。

「したら苺大福がここ掘れワンワンっていったから掘ってみたら、こんなもん出てきたんだよ。あ、因みに掘ったのはここじゃないぜ。なんかここら辺でも特にでっかいあの家の庭にあったんだよ」

 ここら辺でも特にでっかいあの家。
 マナの指差した方向は間違いなくサスケの家――いや、サスケのだった家。
 母と父と兄と過ごした家。
 あのおぞましき夜を過ごした家。
 地面に倒れた両親と、返り血を浴びた兄を見つめて泣き叫んだ、家だ。

「……お前、人様の庭を勝手に掘り起こしていいのか」
「いーじゃん。誰も住んでねーんだし」

 マナの言葉は真っ直ぐなだけにサスケの胸を抉った。けれどそうなのだ、この家にはもう誰もいない。この敷地には誰も住んでいない。誰もいない。いるのは子犬を連れた狐者異の小娘と、“悲劇の一族”の生き残り――
 自嘲的にそこまで笑っていたところで、かぽっとマナがその小箱を開けた。それを素早く奪い取る。

「あーっ、なにするんだ
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