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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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クラスメートを招けたものである。駆け寄ってきた子犬があまりにも赤丸に似ていたので、思わず「……お前は赤丸を拉致したのか?」と聞いてしまった。真剣な声のシノにマナはきょとんとした顔をしてから、「ああそれ苺大福だよ。キバから貰った」と片手をひらひらさせる。どう考えても犬塚一族の人間が忍犬の種にそんな名前をつけるとは思えないのだが、それはいいとした。

「ほれ。シノも一緒に食べようぜ」
「……何か企んでいるのか?」
「んなわけねーじゃん。やだなあシノ、クラスメートだろ?」

 食べ物に関すると異常にケチケチする彼女が何かをわけてくるだなんて罠だとしか思えない。奇壊蟲たちが一斉に警告の鳴き声をあげた。にっこりした笑顔もうそ臭い。ので「遠慮しておく。……何故なら、お前がこんなことをしてくるなんて罠か熱を出しているかとしか思えないからだ」と言ったら「いーじゃん、今日はアタシ熱ってことでさ」と執拗に薦めてきた。
 仕方なしにと羊羹を一口いただく。

「おいしいだろー」
「……ん」

 買って来たのはシノなのだが、この会話だけだとどうもマナがシノに奢っているように聞こえる。

「で、こっちのも食べたらどーだ?」
「…………」

 咄嗟に顔を逸らす。悪い予感しかない。マナはくノ一クラスのドベではあるが、いざ(食べ物の為に)本気を出すとなんでも考え付くのだ。

「遠慮しておく……」
「――あ゛?」

 びくん、とシノの肩が跳ねた。目の前にいるのはにこにこ笑顔のマナ。先ほどの殺気に満ちた声が彼女から発せられたとは余り思えないが、そうと思うしかない。

「……では、お言葉に甘えて」

 ゆっくりとまた羊羹を取って食べると、マナも羊羹を一つとって食べ始めた。その目がギラギラしている。こいつ羊羹の中に何か入れたんじゃないのか。それともこれから何かするつもりなのか。思索をめぐらせながら出来るだけゆっくりと食べる。
 そうだ、トイレを借りるなら隣の部屋にいけとマナは言っていた。トイレに行くと言ってそのまま逃走すれば――

「……ちょっと用を足してく――」
「おー。まあだからって逃げんなよ。こっちには蟲質がいるんだからな」

 マナが見せてきた小瓶には間違いなくシノの奇壊蟲達が助けを求めて鳴いている。

「……何が望みだ?」

 涙目のシノに、にたぁとマナが笑った。

「毎日とか毎週とかそういうわけじゃあないんだけどさあー、取り合えず食えるもんがねー時には無銭飲食か拾い食いか、誰かに恵んでもらうしかねーのな。そういう時に“シノくん”が食べ物を提供してくれたら嬉しいかなあって」

 聞かなかったふりで一楽の前を通り過ぎていればよかったと激しく後悔した。あの後父に相談した結果甘栗甘の羊羹やら団子やらを送ることにしたの
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