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かかるだろう。
最近めっきりこの町に来る人が減った。理由はただ一つ。魔物が凶暴化したからだ。一日前には行商人が町周辺で死体で発見された。聞いた話によると、死体は無残にも食い荒らされていたという。そんなご時世、外を出歩く者などほぼ誰もいない。つまり、魔物のせいでこの町にはほとんど誰も来なくなった。雑貨屋だけではなく、この町全ての店が閑古鳥が鳴いている状態、というわけだ。
客は一人でも多い方が良い。客は町の住民だけしかいない状態なら、なおさらだ。
「ーーってことで買わないか?今ならたったの80Gだ!」
ミストは心の中で溜息を吐いた。こんな得体のしれないものに80Gも。
そもそもどうやって食べるのか 。あの緑色の硬そうな皮を食べるのだろうか。
「今回は遠慮しときます・・・・・・」
興味はあったが、 そう答えることにした。残念ながら彼女は無駄金を使うような余裕は無い。
「そうかい・・・・・・」
主人は残念そうな顔をし、手早く麻の袋に色々詰め始めた。
「いやー、それにしても最近この町に来る人が減ったよねー」
「そうですね」
どうやら今度はただの世間話らしい。
ミストは財布の中身を探りつつ、相槌を打った。
「魔物は暴れるわ町の外には出れないわカミさんには殴られるわ、もう踏んだり蹴ったりだよ・・・・・・」
「大変ですね。いくらですか?」
「125G」
貨幣を雑貨屋に渡し、品物を受け取るときに、ふと目をやると町の入口から、馬車が引き摺られてくる光景が見えた。
馬車を取り巻くように歩いているのは、赤いバンダナに黄色いコートという目立つ格好をしている少年と、背は少年の半分ほどしかないが、太り君の人相が悪い中年男だ。
その二人に共通する点は、武器を背に携えているということだ。
「珍しいですね。旅人なんて」
「お、おいミスト!!あれ・・・・・・あれを見てみろ!!」
主人が震える手で指差した方向には、魔物がいた。
カエルの顔面を潰したような醜い顔と、緑色の肌を持った魔物が馬車の御車台に座っていた。その魔物は、町の人々に笑いかけるが、目が合った住民は短い悲鳴を上げて去って行く。
「魔物がどうかしましたか?」
「どうかしましたかって・・・・・・魔物が町に入ってきたんだよ!?ほら、早く僕らも逃げないと!」
主人の顔は恐怖感で青ざめていた。
しかし、ミストは首を傾げた。
「逃げる必要なんてないんじゃないですか?」
「何で!?」
「あの魔物と一緒にいる人たちが押さえつけてくれますよ」
「根拠はどこにもないだろう!?あの二人も、魔物の手下っぽいし・・・・・・!」
「まあ、暴れたら暴れたでライラスさんが何とかし
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