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男は悲しんだ、人の命のはかなさを。
男は求めた、この世に溢れる知識を、全てを。
だから男は望んだ、不死の体を。
ある少年少女達は平和を求めていた。
一人の少年が死んだ。それでも少年と少女は走り続けた。
そして彼らは世界に痛みを与えることを決意した。
一人の少年は石の下に沈み、赤い瞳を差し出した。
赤の瞳とその少女を託された少年は走り出す、約束を叶えるために。
友達になろうと思ってなり切れなかった仲間を思って。
少年が泣き叫び、女が倒れる。少女ともう一人の少年は、遠くで女の死を知った。
一人の少年は恋に狂い、一人の少女は自分だけを愛することにした。
残されたもう一人の少年は、変わった二人を前に、成すすべもなかった。
ある子供には記憶も、名前もなかった。
そんな彼にある女は名前を授け、そして眼鏡を授けた。
その子供は、とても卓越した才能の持ち主だった。
少女は駆け抜けていく、小さな男児の手をひいて。
男児の殺された白い目の女を思い、狂った怨霊を思いながら。
首の根に呪いをかけた白い蛇を思いながら。
少年は駆け抜けていく、狐者異の敷地への道を。
燃え上がった屋敷の中に飛び込んで、彼は赤子を救い出す。
泣き叫んでいた赤子を抱え、かれは崩れる屋敷を後にする。
父と母は抱きしめる、愛しい愛しい我が子を。
九つの尾は里を壊し、仮面の男が赤子をさらう。
誕生日を祝うのは最初で最後、プレゼントは九つの尾を持つ獣。
犬達が駆け抜けていく、里の外れの村めがけて。
そして犬達は、赤子の首を絞める女の、その首に牙をつきたてた。
犬神と呼ばれるその妖怪は、赤子の中にもぐりこむ。
男児は恨んでいた、額の呪いを、定められた道を。
分家は宗家を守るのが、呪いを受けるがその定め。
伯父によくにた我が父の、亡骸を前に、彼は泣く。
子供は一人泣いていた、風の散らす砂の地で。
兄にも姉にも恐れられ、父も叔父も敵だと知った。
砂で刻むは一文字、この先愛すのは己のみ。
兄は涙を流して刀を構え、弟は呆然と兄を見上げていた。
弟は聞いた、なぜこんなことをしたのかと。
兄は言った、それは器を測るためと。
そして物語は幕を開け、九尾を封印された少年は、世界をかき回してゆく。
そして狐者異の少女は、かき回される世界に飛び込んだ。
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