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至誠一貫
第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
四十 〜愛の狭間〜
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ともあれ、城中に明日、参るが良い。皆にもそこで引き合わせる」
「はいっ! よろしくお願いしますっ!」

 勢いよく駆けだしていく徐庶。
 ……しかし、あの徐庶までもが、私の許に集うとは……。

「……主。一つ、お尋ねしますが」
「何だ?」
「……その羽織、あの少女に着せたとか。一糸纏わぬ姿だったのですな?」
「そうだ。そのままにしてはおけまい?」
「……よもや、あの少女に懸想しただけではありますまいな? 他にも、拐かされた少女はいたと聞いておりますが」
「埒もない。偶さかの事だ」
「ならば。今宵、それを確かめさせていただきますぞ」
「……どういう意味か?」
「さて。では私は、準備があります故」

 そう言って、星は駆けていく。
 ……何を言いたいのかわからぬつもりはないが、今宵は……。



 そして。
 部屋の前で、二人は見事に鉢合わせ。

「せ、星? 何故ここに?」
「おや、疾風ではないか。お主こそ、如何致したのだ?」
「こ、今宵は歳三殿と共に過ごすと。そう、約束をいただいたのだ」

 と、二人がそのまま、部屋に入ってくる。

「ほう? 主、これはどういう事にござりますかな?」

 ずい、と星が迫ってくる。

「どうもこうもあるまい。お前が話も聞かずに立ち去るからであろうが」
「では、今伺いましょう。主、どうなさるおつもりか?」
「…………」

 星は、一歩も引くつもりはないようだ。
 だが、疾風もまた、一大決心で言い出した事、今更後には引くまい。

「……仕方あるまい。二人とも、参れ」
「それは、どちらも選ばぬ、という理解で宜しいか?」
「歳三殿……」
「この状況で、一方を選べば一方が傷つこう。私には、そのような無粋な真似は出来ぬ」
「……はっはっは。主、私の負けですな」
「歳三殿。そ、その……」

 そんな二人を、抱き締める。
 交互に口づけし、そのまま臥所へと向かった。



「主……。お慕い申しておりますぞ……」
「歳三殿……。離れませぬ、ずっと……」

 二人とも、寝顔は安らかであった。
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