崑崙の章
第19話 「一つ、我らは民の笑顔ために!」
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しようとする。
でなければ、いつまでも個人の資質のみで民の暮らしが左右される時代が終わらない。
これらも主の言でもあった。
「また、地震、強風、蝗など、天災時に街の復旧なども基本的に専属で担当します。もちろん、人手が足りなければ増員もしますが、それらの監督もしていただくことにもなります」
「「「………………」」」
「そして第三の人心の掌握……これは、街の人々の不安や不満を受け止め、安心を与える役割です」
「「「??」」」
再度、意味を掴みかねる兵たち。
まあ、気持ちはわかる。
私とて、主から詳細を聞かねばわからなかったのだから。
だが……これは必須なのだ。
「民とは人です。人故に、日々の暮らしの悩み、将来の不安、友人との仲違い、近所との問題……そうした不平不満を聞いて解決してきたのは、今までは桃香様……いえ、劉備様、関羽さん、張飛さんなどの武将の方々でした。ですが……今後は、貴方たちこそが『頼られる人』になってもらうのです」
「「「なっ!?」」」
「貴方たちがここに選抜されたのは偶然じゃありません。それぞれ一人一人がつらい過去を持ち、それゆえに他者に優しく接してきた。そうした人選をして選ばれたのがあなた方です」
「「「………………!」」」
兵隊が互いを見る。
お互い、思うところがあったのだろう。
それぞれを見る目は、ひどく優しかった。
「中には親兄弟、恋人や奥さんや子供を亡くした方もいます。その理由は様々でも、それゆえに人の痛みがわかるのでしょう。普段の警備や戦時での他者への労りなどで特筆された人々があなた方です。それが現在、増員された漢中にいる一万の兵の中から、あなた方を選んだ理由です」
朱里殿の言葉に、皆が静かに朱里殿へと目を向ける。
その表情は、穏やかであり、なおかつ強い意志を秘めている眼だった。
「そしてその痛みを常に感じているのが、桃香様……劉備様であり、私達の主である北郷盾二様です。その痛みを共感できるあなた方でしたら、きっとこの大役も果たしてくれる。そう信じています」
「「「…………………………」」」
「民を家族のように、優しさと……時に厳しさを以って、勤務してください。以上です」
朱里殿は、ふうと一息ついて私を見る。
ふむ……では、私が締めるとしますか。
「ごほん! この警備を担当する者の呼称は、『警備兵』ではなく『警備員』、官職にある警備員……略して『警官』と呼称する。そしてその警官を指揮するのが、私こと馬仁義である!」
「「「ハッ!」」」
「職名は警官を監視する者……『警視』となる。以後、そう呼ぶように」
「「「ハッ!」」」
「我々は多大な責務がある。それゆえに俸給で優遇されている。だが、それを怠ったものは容
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