暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
早すぎる終わり ─前哨戦─
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
よね。寝床と温かい食事の提供はマスターたる者の義務でしょう」
「帰ってくれば寝床はあるし、今は冷凍食品でも店員に言えばレンジでチンしてくれるぞ。てゆうかおまえ、前言撤回すんの早すぎるだろ」
「む、むーっ!」

 上手いこと丸め込もうとしているが、俺にその手の口八丁は通じない。

 それにしてもやばい、何か面白いぞ。
 コイツのポーカーフェイスを崩すのが楽し過ぎる。

 不満そうに口を尖らせて睨んでいる。
 いつもクールなフェンサーのこんな表情はレアだ。

「いいから作るの! 私も食べるの!」
「もー、我儘なサーヴァントだなぁ。仕方ない、じゃあどっかレストランでも行こうか?」
「ち、違うってばぁ! ビーストロロガノフが食べたいのー!!」
「落ち着け、言えてないぞ」

 このままでは暴れ出しかねないので、折れて晩御飯を用意することにする。

 夢で見た通り、ビーフストロガノフはフェンサーの好物なのか。
 別段彼女の為という訳ではなかったが、料理一つで喜ばれるなら腕の振るい甲斐もある。

「味の保証は出来ないからな」
「いいのよ。レイジが作ることに意味があるんだから」
「はい?」
「ううん、なんでもなーい」

 本当に、料理一つでフェンサーは上機嫌だ。

 どういう理由でビーフストロガノフが好きなのだろうか?

 思い出の一品なのか、思い入れのある一品なのか。
 それともやはり、あの青年が振る舞っていた料理だからか。

(まさか、不味かったりしたら契約破棄されるのか?)

 未だ見ぬ恐怖に震える。

 安請け合いするべきではなかったかもしれない。
 料理食べさせたらサーヴァントに裏切られたとか、また新たな伝説を打ち立てることに…………

「ふんふーん、ふふーん♪」
「………………はぁ」

 フェンサーの様子を見ていたらどうでもよくなった。

 あんなに嬉しそうなのだから、俺は精々彼女の機嫌を損ねないように尽力せねばっ。










 忙しなかった一日が終わろうとしていた。



 後一度だけ、戦いを残して。
 
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ