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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
早すぎる終わり ─前哨戦─
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よね。寝床と温かい食事の提供はマスターたる者の義務でしょう」
「帰ってくれば寝床はあるし、今は冷凍食品でも店員に言えばレンジでチンしてくれるぞ。てゆうかおまえ、前言撤回すんの早すぎるだろ」
「む、むーっ!」
上手いこと丸め込もうとしているが、俺にその手の口八丁は通じない。
それにしてもやばい、何か面白いぞ。
コイツのポーカーフェイスを崩すのが楽し過ぎる。
不満そうに口を尖らせて睨んでいる。
いつもクールなフェンサーのこんな表情はレアだ。
「いいから作るの! 私も食べるの!」
「もー、我儘なサーヴァントだなぁ。仕方ない、じゃあどっかレストランでも行こうか?」
「ち、違うってばぁ! ビーストロロガノフが食べたいのー!!」
「落ち着け、言えてないぞ」
このままでは暴れ出しかねないので、折れて晩御飯を用意することにする。
夢で見た通り、ビーフストロガノフはフェンサーの好物なのか。
別段彼女の為という訳ではなかったが、料理一つで喜ばれるなら腕の振るい甲斐もある。
「味の保証は出来ないからな」
「いいのよ。レイジが作ることに意味があるんだから」
「はい?」
「ううん、なんでもなーい」
本当に、料理一つでフェンサーは上機嫌だ。
どういう理由でビーフストロガノフが好きなのだろうか?
思い出の一品なのか、思い入れのある一品なのか。
それともやはり、あの青年が振る舞っていた料理だからか。
(まさか、不味かったりしたら契約破棄されるのか?)
未だ見ぬ恐怖に震える。
安請け合いするべきではなかったかもしれない。
料理食べさせたらサーヴァントに裏切られたとか、また新たな伝説を打ち立てることに…………
「ふんふーん、ふふーん♪」
「………………はぁ」
フェンサーの様子を見ていたらどうでもよくなった。
あんなに嬉しそうなのだから、俺は精々彼女の機嫌を損ねないように尽力せねばっ。
忙しなかった一日が終わろうとしていた。
後一度だけ、戦いを残して。
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