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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
早すぎる終わり ─前哨戦─
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…あぁ、もういいわ」
心底呆れて、手を眼前に翳す。
魔力を通して刻印から術式を奔らせる。
手を通して火系魔術の予兆熱が伝わったからか、慎二は焦ったように言葉を紡いだ。
「わかっ……わかった! 出す、出すから待ってくれ!」
叫び、ポケットから一冊の本を取り出した。
「なに、コレ?」
「ぼ、僕には魔術回路がないって言っただろう!? サーヴァントを律する令呪の代わりがコレだっ…………!」
「ふぅん……確かに、魔術師じゃない人間がサーヴァント従えるなら、何か特殊な方法だとは思ってたが」
聖杯のバックアップがあれば、正規の手段じゃなくてもサーヴァントを呼び従えることは出来るのか。
マスターは聖杯が選ぶというが、随分と杜撰な選びようだ。
選定基準に魔術師であることは含まれないのか?
ならば聖杯はマスターの何を選び、気に入って令呪を与えるのか?
疑問はあるが、今はこの慎二の令呪を破棄しよう。
「良かったな、手か腕なら切り落としてたところだ」
魔術刻印から発火の魔術を発動する。
塵すら残さず焼き尽くす。
令呪の書が燃え尽きると同時に、ライダーが実体化を保てずにその姿を消した。
致命傷の上、マスターまで失っては存命など不可能だ。
「死にたくないなら教会行けよ、慎二。聖杯戦争が終わるまでは、危険はあるからな。くだらない真似はすんなよ。次何かあったら問答無用で殺すぞ」
座り込んだまま動かない慎二に告げる。
大人しく聞くとは思わないが、一応の釘だけは刺しておく。
どう見ても納得したような顔はしていない。
ライダーに単独でマスターを襲わせていたのもそうだが、昔からそういう知恵は働かせる奴だった。
通常社会における世渡りの手法としては上手いんだが、魔術師同士の取り決めとして余計なことを仕出かすことも有り得る。
プライドの高いアイツのことは好きだが、見逃すのは今回のみ。
誰かさんたちの影響で、ちょっとお人好しになってみてもいいかと思っただけ。
多分その瞬間がきたら……俺は躊躇いなく慎二を殺せてしまうことを、心の奥底で感じていた──────
雑木林を抜けて帰路に着く。
「ふう……終わったなぁ」
「不完全燃焼?」
「あ、やっぱ分かる?」
「その顔を見ればね。ライダーにトドメを刺さなくて良かったの?」
「あんだけ斬られて刺されて、さらにコキ使われそうだったんだ。せめて静かに逝かせてやればいいさ」
「…………そう。マスターがそう言うなら私に異論はないけれど」
身体ぶった斬られて胸に風穴開けられて、現界の依り代であるマスターも失った。
放っておいても消え逝く
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