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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
早すぎる終わり ─前哨戦─
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…………」

 滴る血の雫で、不可視の剣の造形(シルエット)が浮かび上がる。
 血溜まりに倒れ伏すライダーの胸にさらに剣を突き立て、引き抜いた後に血払いをした。

 到底追い付けないだろう速度のライダーに、法則ごと加速して(・・・・・・・・)フェンサーは回り込んだ。



 概念魔術────『絶対速度』。



 それはライダーが自分から意識を離した瞬間に発動した。

 対象の速度を上回るように自身の行動速度に補正が掛かる速度概念の魔術。

 越えられない限界はあるが、ほとんどの場合においてイニシアチブを得ることが出来る。
 持続時間も数分、その割りに魔力消費が多いので使いどころは見極めなければならないが。

 結果として、先手を取ったはずのライダーは後手のありえない速度によって敗北を喫した。

「ぁっ……っ…………」

 くだらないとばかりに溜め息を吐きながら、フェンサーは剣を納める。

「で、どうするんだ、慎二?」

 同じく俺も、当然のように質問を続けていた。

 フェンサーがライダーに勝手な行動を許すはずがないと信じていたからこそ、俺は慎二だけに意識を向けていたのだ。

「ぁ……ひ、あ……」

 己がサーヴァントが潰されたのがそんなに疑問なのか。

 俺はフェンサーを信頼していたし、どんな状況だろうと敵に背を見せるならそれなりの理由ありきだ。

 こちらに気を配っていたのはライダーだけではない。
 俺が行動を起こした時点で、連携を取るための意思疎通は行っていたのだ。

 背中からライダーが襲いかかってくるのも想定内。
 宝具発動の気配があればさすがに分かる。そして宝具の発動なしにライダーにフェンサーを突破することは出来ないと判断した。
 単純な能力値での比較。素の戦闘力で勝てないのだから宝具以外に警戒する必要はなく、故にフェンサーに全て任せていたのだ。

「あ……な、何やってんだ! 誰がやられていいなんて言ったんだよ!」
「………………」
「死人なんだから傷なんて関係ないだろう! 立てよっ、さっさと立って戦えよ愚図!」
「……うるせぇ」
「クソ、クソ! これじゃまるで僕が弱いみたいじゃないか!! 僕は、僕は勝たなきゃならないのに、せっかく僕が──────」
「うるせぇッ! ド頭かっ飛ばすぞ!!」
「…………っ!?」

 自身のサーヴァントへの罵詈雑言。
 錯乱したように悪口を並べたてる慎二。

 掴む胸ぐらを更に捻りあげる。
 聞くに堪えない雑音に、殺気すら交えて一喝する。

「二度は聞かねぇ! 頭吹っ飛ばされたいのか、令呪を出すのか、どっちだ!?」
「っ……っ……」
「………………」
「僕……僕は…………!?」
「………
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