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銀河英雄伝説〜悪夢編
第十六話 たまには無力感を感じてくれないかな
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部隊が無慈悲なまでに主砲を三連斉射した。猛烈なまでの爆発がスクリーンを白く染め上げた……。

潰滅……、完膚なきまでに第十一艦隊を叩きのめした。時間にして僅か三分程だろう。帝国軍右翼部隊の攻撃で一瞬にして第十一艦隊は潰滅状態になった。半数以上を失い、残存部隊もバラバラな状態だ。呆然とする総司令部にオペレーターが警告の声を上げた。

「帝国軍中央、左翼部隊、前進してきます!」
「これ以上の攻撃を許すな、第十一艦隊を収容するのだ!」
「はい!」
ビュコック司令長官の叱咤に皆が答えた。これ以上は好きにさせない、皆が気力を取り戻した。

「前面の帝国軍に攻撃、撃て!」
第十一艦隊を追って押し寄せる帝国軍に同盟軍の砲撃が襲い掛かった。たちまち帝国軍が混乱する。その姿に歓声が上がった。“見たか”、“思い知ったか”、そんな声が艦橋に上がった。

第五、第十艦隊が後退しつつ押し寄せる帝国軍中央、左翼部隊に攻撃をかけ足止めする。そして第十一艦隊の残存部隊を守りつつ後退する。混乱を収めた帝国軍中央、左翼部隊が攻撃を仕掛けてくる。そしてそれをまた撃退する。撃退する度に歓声が上がった。帝国軍に出血を強いつつ撤退する。それを数回繰り返した時だった。

「帝国軍右翼部隊、前進しています!」
オペレーターの報告に瞬時にしてリオ・グランデの艦橋が緊張に包まれた。それと時を同じくして第十艦隊のウランフ提督から通信が入って来た。スクリーンにウランフ提督が映った。表情が硬い、明らかに緊張している。理由は言うまでもないだろう。

『厄介な敵が動き出しましたな』
「うむ、しかし今になって動き出すとはどういうつもりか」
「帝国軍右翼部隊は迂回しています!」
オペレーターの声が響いた。確かに帝国軍右翼部隊は遠回りに迂回している。こちらの側面、或いは後方に出ようとしているのか。しかし……。

『随分とゆっくり動いていますな』
「そうだな、我々に遊んでいないでさっさと後退しろと言っている様だ。何時までも遊んでいると後ろを遮断するぞと脅しているのではないかな」
その言葉にウランフ提督が苦笑した。

『どうやら向こうも言う事を聞かぬ部下がいるようですな、随分と手を焼いている様です』
「そのようだ」
『如何します?』
ビュコック司令長官が“フム”と考える姿勢を見せた。

「折角の警告だ。素直に後退しよう」
ビュコック司令長官の言葉にウランフ提督が頷いた。
『では一気に?』
「うむ、一気に」
『はっ』

通信が切れるとビュコック司令長官が新たな命令を下した。
「全軍に命令、主砲斉射三連、目標、帝国軍中央部隊、続けて左翼部隊、撃て!」
同盟軍から帝国軍に向かって光の矢が降り注いだ……。



帝国暦 487年 1月 4日  ティアマ
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