第十六話 たまには無力感を感じてくれないかな
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当然の答えだ。参謀連中の傍を離れグリンメルスハウゼンの傍に戻った。
「元帥閣下、短距離砲戦の準備をしたいと思います。許可を頂けますでしょうか?」
「短距離砲戦?」
爺さんが不思議そうな表情をした。頼むよ、今俺が皆に訊いてたろう。指揮官席からでも十分に聞こえたはずだ。少しは俺のやる事に関心を持って聞いててくれ。
「あの跳ね回っている艦隊を攻撃するには短距離砲戦に切り替えた方が得策だと思います」
「おお、そうか。分かった短距離砲戦の準備を」
「はっ」
無力感感じて辞めてくれないかな。いや、その前に俺がもう辞めたいんだけど。最近無力感が凄いんだ……
オペレーターに指示を出したけど参謀連中は皆呆れていた。これって問題あるよな、そろそろ限界だ。何とかしてもらわないと……。オーディンに戻ったら上に直訴してみるか。この状態で総参謀長は全くもって罰ゲームだ。いかんな、埒もない事ばかり考えている。この後の手順を考えよう。
ホーランドの艦隊の動きが止まった時点で主砲斉射三連だ。原作では二回だがこっちは三回だ。ホーランドの艦隊を完全に叩きのめす。そしてクライスト、ヴァルテンベルク艦隊に追撃は不要だと命令しよう。多分無視するだろうな、そして追撃してビュコックから逆撃を喰らうに違いない。そこを助ける。その時にはもう一度長距離砲戦に切り替える必要が有るな。早めに切り替えるか……。
宇宙暦796年 1月 4日 ティアマト星域 総旗艦リオ・グランデ ヤン・ウェンリー
戦場を無原則に動いて帝国軍に損害を与えてきた第十一艦隊の動きが止まった。恐れていた攻勢限界点がついに来たのだ! 早急に第十一艦隊を撤退させそれを援護しなければならない。
「第十一艦隊に後退命令を出せ、急げ! ウランフ提督に援護を!」
「帝国軍右翼部隊、攻撃してきました!」
「何!」
ビュコック司令長官の命令とオペレーターの報告が交差した。これまで動きを見せなかった帝国軍右翼部隊が第十一艦隊に対して主砲を斉射していた、三連! 総旗艦リオ・グランデの艦橋に悲鳴が上がった。
「馬鹿な!」
たちまち第十一艦隊が火達磨になった。スクリーンが白い光点に包まれた。そしてさらに右翼部隊からの攻撃が続く、もう一度斉射三連! さらに白い光点が第十一艦隊を飲み込む、止めに近い一撃だった。統制を失った第十一艦隊はもう艦隊としての態をなしていない。やはりあの艦隊こそが帝国軍の本隊、グリンメルスハウゼン元帥、いやヴァレンシュタイン総参謀長の率いる艦隊か……。
「第十一艦隊旗艦ヘクトル、爆散しました! ホーランド提督、戦死!」
オペレーターの悲鳴のような報告にリオ・グランデの艦橋が凍りついた。そして艦首を翻して遁走に移ろうとする第十一艦隊の残骸に帝国軍右翼
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