星屑の覚醒
7 悪意の起動
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忍者は驚きを隠せないようだった。
周囲にばかり気を配り、手甲鉤で天井に張り付き、彩斗が隙を伺っているという発想が浮かばなかったのだ。
天井から火薬を落とし、火花と音が鳴ったことでそちらを警戒している隙に、一気に仕留めた。
『気配を消すこととともに敢えて気配を出すことで相手に注意を向けさせ、真上から攻める。素晴らしい』
「...これで...アイツらを」
『ああ、好きにするがいい。だが『紺碧の闇』について口外することは許さん。君は3日でようやくこの男を倒した。もし我々10人に一度に攻められれば、君に勝ち目はない。我々の敵にはならないことだ』
「...分かってるさ」
彩斗は肌で感じていた。
この『紺碧の闇』という集団は決して自己満足のために悪を根絶しようとしているわけでない。
確固たる信念を持って犯罪と戦おうとしている。
つまりこの脅しは嘘ではない。
『君は強い。今まで絶望しても心が折れたこと無い。何度も立ち上がった』
「....」
『最後に君に教えておくことがある』
「?」
『これからの敵はテクノロジーだ。人の悪意を何処までも増幅し続ける。インターネットがいい例だ。あれには我々にも太刀打ちできん。だが君には、それに対向する術がある。これからの君の"正義"に期待する』
「....ありがとう」
彩斗はそう告げて教会を後にした。
体中に装備した防具を脱ぎ捨て、ジーパンとTシャツといういつもの格好で1週間前の夜に歩いてきた道を戻っていく。
だがふと振り返る。
既に視界から教会は失せていた。
ダークネスの言う通り、招待状が無い者はあの建造物を目にすることもできないのだった。
「....」
彩斗は再び歩き出す。
既に日が落ちかけている。
そして深呼吸をするが、ふと笑みが浮かぶ。
相手に恐怖を煽るための鍛錬で、狂った演技をし過ぎたせいだろうか。
口がまるで裂けてしまったかのように大きく開き、睨みつけているのに嬉しさが混じった目という表情だ。
自分でも何が楽しいのか分かっていない。
だが今の自分にはミヤや自分を貶めた不良たちに復讐するだけの力と術がある。
これから自分が行うであろう復讐、そしてそれによって腐っていく自分が頼もしくて仕方がないのだった。
デンサンシティはもはや末期症状を示していた。
世間一般では学校は休みだ。
結果として街には学生が溢れる。
映画館、デパート、衣料品店、ゲームセンター、カラオケなど。
だが同時にもたらされるのはトラブルだ。
映画を上映している最中に殴り合いが起こるのは可愛いものだ。
万引きなどを弱い者にやらせ、自分たちは無関係を貫く卑劣な行為。
それによって善良な力無き者が淘汰され、
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