第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
三十九 〜大掃除・弐〜
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も知れませんねー。騒ぎが大きくなっていますから」
「そういう事だ。言葉が足りぬ、と見たら補佐を頼むぞ」
「御意ですよー」
夜になり、漸く一息つく事が出来た。
主立った皆を、市中の食堂に集めた。
「大掃除は、これで目処がついた。皆、ご苦労だったな」
「はっ」
「遅くなったが、黒山賊の事、大掃除の事、改めて礼を申す。今日は私の持ちだ、存分に過ごせ」
卓上には、様々な料理と、酒が並べられている。
「お兄ちゃん、本当に好きなだけ、食べていいのか?」
「うむ。今宵は、な」
「やったのだ♪」
大食漢の鈴々は、嬉しげに大皿に箸を伸ばした。
「これ、鈴々。ではご主人様、乾杯と参りましょう」
「わかった。では、乾杯」
「乾杯!」
そして、思い思いに皆が、料理や酒を口にする。
「それにしても、芝居とは言え真に迫っていたな。私も、本気で斬りかかりそうになったぞ?」
「ははは、あれが手っ取り早い、咄嗟にそう思ったのだよ、彩(張コウ)」
昨日の、文官共を前にした一件か。
「おいらも、最初は旦那と星さんが本気で喧嘩始めたのかと、ひやひやしたぜ?」
「ふっ、相手は星だぞ? そのような懸念など、初めからしておらぬ」
「そうですな、私も天地が入れ替わろうとも、主に槍を向けるなど、出来ませぬ」
そう言いながら、星はもたれかかってきた。
「こ、こら! 場を弁えろ、星!」
「おや、妬いておるのか、愛紗? 良いではありませぬか。なぁ、主?」
「……程々に致せ。ここは市中だという事を、忘れるな」
「やれやれ、相変わらず主は堅い御方だ」
「星がくだけすぎなだけですよ。それにしても、今回は大変でした」
しみじみと、稟が言う。
「全くだよ。旦那、決断が早いのは大したモンだけどさ」
「でも、太守様のご決断があったからこそ、最短で悪しき毒を絶つ事が出来そうですよ」
「ああ。韓馥殿では、到底望めない胆力だからな。殿には、敬服するばかりだ」
「風がお仕えするのに相応しいと、見込んだお兄さんですよ? まだまだ、これからなのです」
「確かに、これからが本番……。そう言えば歳三殿、豪族共ですが。静観を決め込んだ模様です、郭図らの悪行が明白で、擁護に回れば自らにも火の粉がふりかかる事を恐れているのでしょう」
「う〜、みんな難しい話ばかりなのだ。折角のご馳走が、冷めてしまうのだ」
と言いつつも、鈴々は取り皿を山盛りにしているのだが。
「ははは、鈴々の申す通りですぞ?」
「そうですよ、皆さん。この時だけは、仕事から離れましょう」
そして、和やかに歓談が始まった。
半刻程、過ぎた頃であろうか。
ガシャン、と皿の割れる音がした。
「何
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