第7話 「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ」
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。有能な男たちではあるが、皇太子殿下は、いったいどこから知ったのであろうか?
そして……あの連中。
階級も低く、まだ若い連中じゃった。
ウォルフガング・ミッターマイヤー。
オスカー・フォン・ロイエンタール。
アーダルベルト・フォン・ファーレンハイト。
エルネスト・メックリンガー。
アウグスト・ザムエル・ワーレン。
フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト。
この六名を呼び出した皇太子殿下は、私と帝国三長官を前にして、彼らに向かい、
「お前ら、二階級特進。いや全員、准将な。先払いだ」
と仰った。
部屋中に緊張が走り、皆を代表して私が、そのような事をなさっては、軍の統制が、と申したが、
「だったら、これはと思う者を、俺の前に連れて来い。紐付きでない、有能な奴らを選んでやったんだ。ミュッケンベルガー。こいつらを卿に預ける。宇宙艦隊の再建を急げ」
皇太子殿下に怒鳴りつけられてしまった。
しかしながらここで引いては、殿下の為にならないと思い、皇帝陛下にも具申致したところ、皇帝陛下は、「ルードヴィヒの好きにさせよ」と申される。
渋々ながら、ミュッケンベルガー元帥に伝えると、元帥は軽く頷き、
「軍に対する信頼を取り戻すべく。尽力します」
いつもの元帥らしくない気弱な口調で言った。
三長官も身を縮こまらせておったし、皇太子殿下の怒りの大きさが、どれほどのものなのか、かえって思い知らされたわ。
■宰相府 ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム■
奥の部屋から、赤ん坊の泣き声が聞こえる。
エリザベートのこどもだ。二人もいれば、そりゃ〜うるさかろう。
乳母が風邪を引いて、寝込んでしまい。仕方ないとばかりに、ここに連れてきたらしいが、普段聞かない赤ん坊の泣き声のせいで、悪夢を見てしまったぜ。
なんであんな夢を見たんだか……。
ガキに責められてるような気がしたんかね?
「皇太子殿下、ようやく眠ってくれました」
アンネローゼが嬉しそうに言う。
こどもが好きなのかもしれない。確かによく眠っている。
「寝てるときの顔は、天使みたいだがな〜。かわいいもんだ」
いっぱい泣いとけよー。大人になったら泣きたくても、泣けんからなー。
さてと、ぷにぷにしたほっぺたをつついて、癒された事だし、仕事に戻るとするか……。
あーもー、頭いて。俺も泣きてーよ。
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