第十五話 悪い予想は良く当たる
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令を出す事の許可を貰った。
「オペレーター、以下の命令を伝えてください」
「はっ」
「反乱軍の狙いは我が軍の混乱を誘いそれに付け込んで被害を増大させる事にある。現時点では無用な交戦を避け反乱軍が前進すれば同距離を後退せよ。反乱軍の攻勢限界点を待って反攻に移るべし」
司令部要員が俺の言葉に頷いている。ちょっと考えれば分かる事だ、ヴァルテンベルク、クライストが分からないとは思えない。となるとあの二人は指揮権を殆ど奪われたような状況なのだろう。俺の命令を上手く利用して連中を説得出来ればと思ったが結局無視された。無力感だけが心に溜まっていく。
ヴァルテンベルク、クライスト両艦隊は相変わらず同盟軍第十一艦隊に翻弄されている。ブリュンヒルトの艦橋には重苦しい空気が漂った。おそらく司令部要員の誰もがヴァルテンベルク、クライスト両艦隊で何が起きているか理解はしているだろう。
馬鹿げている。ホーランドが相手なら楽に勝てるのだ。後退して攻め込んできたところを、疲労のピークに達したところを叩けばいい。そうすれば二人とも上級大将に昇進しそれなりの役職にも就くことも可能だろう。せっかくのチャンスなのに……。
「どうするかのう、困った事じゃが……」
グリンメルスハウゼンが情けなさそうな声を出して俺を見た。勘弁してくれよ。司令部要員達はウンザリした様な表情している。俺もウンザリしたがウンザリばかりもしていられない。世話の焼ける奴らだ。
「閣下、これ以上の命令違反を許す事は軍組織の崩壊をもたらしかねません。もう一度後退命令を出します。もし後退を拒否すれば抗命罪で軍法会議に告発すると警告しましょう」
「厳しいのう」
「命令違反は許される事ではありません」
「……」
「閣下!」
「……総参謀長に任せる」
三度目の警告も無視された。あの馬鹿貴族共にとっては抗命罪も軍法会議も何の意味も無いのだろう。ヴァルテンベルク、クライストが何をしているのか……。後悔しているのか、それともブラウンシュバイク公の名前を出せば軍法会議など恐れる必要は無いと思っているのか、……或いは殺されている可能性も有るか……。予想通りいや予想を超える酷い戦いになった。
帝国も同盟も言う事をきかない部下が戦場を滅茶苦茶にしている。原作通りなら後二時間と経たずにホーランドは攻勢限界点を迎えるはずだ。そこで一撃を加える事でこの戦争を終わらせよう。四分六分かと思ったがどうやら五分五分以上に持って行けそうだ。問題は命令違反の後始末だな、頭が痛いよ……。
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