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銀河英雄伝説〜悪夢編
第十五話 悪い予想は良く当たる
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ム伯、シャイド男爵、コルプト子爵、シュタインフルト子爵だ。クライスト艦隊に同行しているフレーゲル男爵、ラートブルフ男爵、カルナップ男爵、コルヴィッツ子爵は面白くなさそうにしている。おそらく競争心剥き出しでクライストに圧力をかけるだろうな。

そしてヴァルテンベルク、クライストの両名は表情が硬い。特に中央を任されたヴァルテンベルクにそれが顕著だ。気持ちは分かる。布陣においては中央は非常に重要な役割を果たす。そのため能力的にも実力的にも信用できる部隊が置かれるのが常だ。通常本隊が後方に置かれるか中央に置かれる事が多いのはそのためだ。誰よりも自分が信頼できる。

ヴァルテンベルクもクライストも俺に信用されていない事は十分に分かっているだろう。にも拘らず俺がヴァルテンベルクを中央に置いたのは何故か? 当然疑問に思ったはずだ。そして考えただろう、中央を任されても命令は俺から出る。無茶な攻撃、防御を命じられ消耗させられるのではないか。自分達を犠牲にする事で勝利を得ようとしているのではないか……。

中央を任された以上崩れることは出来ない、そんな事になれば敗戦の責任はヴァルテンベルク一人に押し付けられるだろう。嫌でも耐えなければならないのだ。ヴァルテンベルクは今自分がとんでもない貧乏籤を引かされたのではないかと思っているだろう。

少しは怯えろ。こちらを畏れてくれればその分従順になる可能性は有る。問題は連中が俺を畏れるか、それとも貴族を畏れるかだ。難しいよな、どうしてもこっちの分が悪い。俺の命令に従うならそれほど酷い事にはならない。だが連中の圧力に屈すれば悲惨な事になるのは目に見えている。そしてそれはクライストも同じだ。

「では他に意見も無い様であるし戦勝の前祝いとしてシャンパンをあけ陛下の栄光と帝国の隆盛を卿らと共に祈るとしよう」
グリンメルスハウゼンが声を上げると歓声が上がった。シャンパンが用意され皆が右手に持ったシャンパングラスを高々とかかげた。
「皇帝陛下のために!」
手向けの酒だ、誰のための酒かは大神オーディンが決めるだろう……。


会議が終わり参加者が解散した後クレメンツが近寄ってきた。そして周囲を気にしながら小声で問い掛けてきた。
「宜しいんですか、あれで」
「ヴァルテンベルク艦隊を中央に置く事ですか?」
「そうです」

「両脇に彼らを置くと我々の艦隊が身動き出来なくなる可能性が有ります。むしろ端において機動性を確保した方が良いと思うのです」
「なるほど、両脇に引き摺られますか……」
「ええ、それに中央に置いた方が多少は自重するかもしれません。そうなれば損害は少なくて済む」
「……」

「今回の戦い、勝てるとは思えません。四分六分なら上々、三分七分の敗戦ならまあまあと考えざるを得ないでしょう。そうは思い
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