一章 Experimental Results
No.2 マッドな料理。
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なくてもいい、という条件を下に何件か仕事を引き受けていた。
その為凪は義務教育を無視できたのである。
しかし、それももう限界に来ていた、というよりは、凪が城宮の家にとどまることが難しくなってきていたのだ。
長年改造され続けた凪の力は常軌を逸していた。
川神市には強さの壁を越え、人間をやめたものが何人か居るが、凪は体の構造自体が人間ではなくなっているのである。
気を使わずに、それこそ本気で力を入れれば大抵の人間を、文字通り捻り潰せるほどやばくなっていたのである。
けれど強大すぎる力は制御が難しく、凪は手加減が上手く出来ず、完全に外へ出られないようになっていた。
そしてそれは家の中でも大きな問題になってきており、勉強するのもはかどらなくなっており、時には楓すら危険に晒すこともしばしばあった。
故に、凪は決断するしかなかった。
自分で家を出ることに。
とはいえ、家を出たところで誰かに迷惑がかかるのは必定。
力の扱い方を学ばなければいけないと、凪は川神市にある武道で有名な川神院に入ることに決めていた。
幸いにもTVで紹介されていた為に、川神院への連絡先入手は然程難しくなかった。
凪はまず様子見で電話をかけたのだが、電話口の川神鉄心に現状を話しただけで、なんと川神院に入ることを許されてしまった。
その後、凪の行動は早く、荷造りを終えるとすぐさま義姉である楓に話した。
事後承諾であったという事もあるが、化物揃いで有名な川神院に出すことに、義姉である楓は反対したが、流石にこればかりは凪も頷けなかった。
例え仮初の家族だとしても、凪は両親と楓を大切に思っているし、愛している。
だからこそ、家を出る決意をしたのだ。
そして川神院に入って、守れる力を手に入れるために、自分を鍛えぬくと心に決めたのだ。
そんな凪の決意を前にして、流石の楓も、凪が家を出る日を、少し延ばすだけに留める事しか出来なかった。
けれど楓はここで一つ決意した。
可愛い弟と一緒にいるには、そろそろ自分自身で行動しなくてはいけないと。
だから楓は学校の教師になろうと。
凪が帰って来た時に通うと思われる、尚且つ人体実験できそうな、そんな学校の教師なろうと決意した。
それが保健室の先生であったことは、楓を知る人物なら誰でもわかっただろう。
「じゃあ姉ちゃん、行って来るわ」
「ああ、行ってこい」
行くと決めたその日から、義姉に習った『舐められない言葉使い』をマスターした凪は、大手を振って城宮家を後にし、川神市を目指して旅立った。
親戚がマンションを持つという親不孝通りを目指して。
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