五十八 予感
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也は顔を顰めた。取材と称する覗き用の望遠鏡を申し訳程度に隠す。
半壊した街並み。それにちらりと視線をやってから、彼は内心嘆息した。
『木ノ葉崩し』。
音と砂―両里が仕掛けてきた戦争は木ノ葉に多大な被害を及ぼした。
しかし最終的には、大蛇丸が成り済ましていた四代目風影本人が発見された為、利用されていたのだと悟った砂隠れの里の全面降伏で収まった。
監禁されていたのか、実の風影は意識不明の重体で病院に運ばれた。今も生死を彷徨っている故、彼に指示を仰ぐ事も叶わない。
従って降伏宣言をする以外、砂隠れに道は無かった。木ノ葉としても里の復興の為、その提案を受け入れざるを得ない。
互いに甚大な被害を受けた双方の里は同盟を結ぶ事で矛を納めた。
しかし和睦したとは言え、里の力が衰えているに変わりはない。そこで木ノ葉の上層部は更なる危機の対抗策として緊急執行委員会を開いたのだ。
最優先させるべきは信頼のおける指導者――次なる火影・五代目火影の就任。
生きているとは言え、世間一般では死んだとされる三代目火影・猿飛ヒルゼン。その後を継ぐ者が木ノ葉には必要不可欠。
そこで火の国の大名を始め里の各部隊のトップを召集して開いた緊急会議にて、候補に挙がったのは三忍の一人である自来也と『根』の創始者たる志村ダンゾウの二名。
だが、常に不穏な噂が付き纏い、冷酷非道な野心家とされるダンゾウは、木ノ葉でも危険視されている為、自来也に軍配が上がる。
しかしながら、以上の説明を受けた当の本人は火影就任を軽く一蹴した。
「お生憎様、わしはそんな柄じゃないのう。それに適任者ならいるだろ」
「誰だ?」
顔を見合わせる御意見番の前で、自来也はにやりと口許に弧を描いた。
「綱手だよ」
一瞬当惑顔を浮かべた御意見番の二人は、直後大きく頷いた。
「……確かにあの子ならその器かもしれん。しかし行方が皆目見当もつかぬ者をどうやって捜し出す?」
「わしが見つけてくる。そうすりゃ問題無いだろう」
決然たる態度の自来也を見て、彼らは諦めたように肩を落とした。「わかった」と了承の言葉を返す。
「だが早急に連れ戻せ。さもなくば――――」
御意見番の次の言葉を察して、自来也は神妙な顔で頷いた。
「早くせんと火影の権限で旅のお伴を連れて行けなくなるかもしれんしのお…」
現在は信任投票が終えていない為、正式な五代目火影として誰も認められていないが、それも時間の問題だ。いつダンゾウが圧力を掛けてくるかもわからない。
以前から人柱力である波風ナルが里外の任務に就く事に対し、不満を抱いているのだ。五代目火影に就けば、彼女を里に軟禁する可能性が高い。
「……そうと決まれば、話をつけておかんとな」
御意見番が去った後も一人で思案に暮れ
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