暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
劫火の巫女
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……………」

深呼吸をし、持っていかれそうになるペースを引き戻す。

柄をきつく握り直したカグラを見、ウィルはニヤッと不敵に笑うと、両手で持っていた《大怒(モラルタ)》をポーンと空中に放り投げる。

いぶかしむカグラの視線の先で、ウィルは回転しながら落下してきたそれを、今度は裏手でキャッチした。

それだけで、ウィルの全身を包む空気が一変した。

これまでのどこか気の抜けたそれから、獰猛な肉食獣へと。気のせいか、それによって剣の輝きが増したような気さえする。

「次で決めるッスよ」

「その言葉、そのままお返ししましょう」

短い言葉の応酬。

両者の間の空間に、にわかに火花が散る。ヒビが入り、傷ついた空間が悲鳴を上げていく。

神経が異常にアクセラレートしていき、舞い落ちる火花の動きすらもゆっくりになる。それらの中の一つが、両者の交差する視線の間をゆっくりと横切り、そして────



「────────ッッッ!!」



「────────ッッッ!!」



両者の体が弾丸のように動き、それぞれの髪が風になびく。

カグラは力強く踏み込み、相手を《神装》ごと切断せんと大上段から振り下ろす。

ウィルは敢えて踏み込まず、助走の全エネルギーを己の《神装》に乗せ、低い体勢からカグラのガラ空きの胴体を狙う。

両者の動きは映画のコマ送りのようにゆっくりとなり、互いの得物はまるで引き合うように近付いていって────



衝撃が、身体を揺さぶった。



金属バットでタコ殴りにされたような衝撃が、身体全体を包む。もはや音ではない。

純粋な衝撃。

至近距離で、互いの視線が交錯する。

ウィルの瞳には、もはやヘラヘラとした笑いなど欠片もなかった。ただ、相手を喰い殺すという猛獣のような激烈な光が宿っていた。

カグラの瞳には、何の感情もなかった。ただ、行く手を塞ぐ岩を作業的に取り除くような、そんな無機質で事務的な光が宿っていた。

ゾグッ、とウィルの背筋に冷たいものが走る。

それを感じたのも束の間だった。交錯する視界の上から、小さな物がゆっくりと落下してきたのが知覚できた。それにウィルが焦点をフォーカスさせると、それは激突の際にカグラの大太刀から散った火の粉の一つだった。

それは見ているこっちがやきもきさせるほどのスローペースで視界をゆっくりと横切り、カグラと今まさに根競べをしている己の得物を支える右手の上にふわりと音もなく乗り────

しゅっというささやかな効果音とともに、()()()()()()()()

「ご………ぁっ………………ッッッ!!」

決して右腕に防護装備を装備し
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