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ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
劫火の巫女
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「まさか………。なぜあなたがそれを…………」

そしてカグラは

「《神装(しんそう)》を………」

慄きながら、言った。










太陽はすっかり落ち、辺りは暗闇に没しようとしていた。

街中ではないため、BGMは聞こえてこないが、代わりに虫たちのさざめきがそれを補ってくれていた。草木が揺れ、その微かで柔らかな音が伴奏として虫達の鳴き声を後押しする。

だが、生憎ながらもそれらの柔らかなBGMは宙空に舞い散り、踊り狂う剣戟の音に全てが断絶させられていた。

衝突の音が響くたびに、草木は薙ぎ倒され、空間にヒビが入る。

人外のその戦いに、何者も干渉することなどできはしない。ましてや、参戦することなどもってのほかだ。

先程まで劣勢だった金髪のスプリガンは、自身で《大怒(モラルタ)》と呼んだあのエネルギーの塊でできたような剣を発現させてから、一転して優勢となっていた。

カグラの巫女装束はあちこちが擦り切れ、白衣(びゃくえ)に至っては左肩のところが血に染まっていたり、土埃だらけだったりと、とにかく見るも無残なことになっていた。

端正な顔は、額を切ったのか、頭部からだらだらと鮮血が流れ出していて、闇妖精(インプ)特有の白すぎる肌を目も眩むような赤に染めていた。

周囲の宙空には、激突の時にカグラの心意技《繚炎火乱(りょうえんからん)》が悲鳴のように吐き出した火の粉がゆっくりと漂い落ちて行っており、一種幻想的な光景を生み出していた。

ペッ、と口内にあった血液を唾液とともに吐き捨てながら、カグラはいまだに衰えなく白く燃え続ける大太刀を、静かに正眼に構える。

「……まさかあなたが《神装(しんそう)》を習得していようとは、夢にも思いませんでした」

相対する《夕闇の化神》は、いつものようにヘラヘラとした笑いを顔に貼り付けながら言う。

「あの城の最後の時に、我等がマスターが発現させたのを見て、これだー!って思ったんスよ。パワー不足の《付与効果師(エンチャンター)》である俺にもできそうな、一撃で相手を葬ることができそうな必殺技………。ま、それでも修行は辛かったッスけどね」

カグラは軽い言葉に一瞬眉をひそめたが、彼の言葉に得心したとでも言うように首を縦に振る。

「なるほど。確かにあなたの主は発現させていましたね。たしか……《破壊(ミョルニル)》、でしたか…?」

「その通りッスよ。閣下には少しだけ教わったんスけどねぇ。いやー、何しろあの人、人に物を教えるってのが下手で下手で…………。これでも、かな〜り苦労したんスよ?」

かなりと言う割りに、全く苦労してなさそうなヘラヘラ笑いを引っ込めないウィルに、カグラは再度優美な眉丘を寄せるが

「……………
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