第二部 文化祭
誰17話 こわい
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「パパー。ユイの歌、まだ?」
「ごめんな、まだなんだよ……もう少し待ってくれるか?」
「うん。ユイ、待つ!」
ユイがにこやかに答える。
アリスはユイにも神聖術を使い、気持ち歌詞の参考になる情報を入手しようと試みたらしいのだが……何故だか、なにを見ようとしても真っ白なのだという。俺は「適当に可愛らしい歌とか、見た目でなんとなくって感じでもいいんじゃないか?」と言ったのだが、まりあは難しい顔をしていた。
「キリトくーん!」
10メートルほど先から、アスナがこちらに手を振っている。
「はやくはやくー!」
今日はユイの本当の親に繋がる手がかりを捜す為に、例の屋敷に続く森に来ているのだが……。
「はしゃぎすぎだろ、ったく……」
俺は呟くと、小走りでアスナのもとへ向かった。
*
「……うう、相変わらず怖いとこね……」
「さっきまであんだけはしゃいどいて、今更なに言ってるんだよ……」
「だ、だってキリト君ー」
アスナが涙目で訴えかけてくる。
「ママ……の……こころ……こわ……い…………」
「……ユイ?」
ユイは突然頭を抱えてその場に座り込んだ。
「──ユイ!」
「ユイちゃん!?」
俺とアスナはユイの横にしゃがんだ。
「ユイ……こわい──怖い!!」
「ユイちゃん!」
アスナはユイを抱きしめた。同時に、俺に目線で問いかけてくる。
──どうしよう、どうしちゃったんだろう……キリト君!
「ユイちゃん、なにが怖いの? 怖くなんかないよ。怖がらなくていいよ……」
アスナがユイの頭を優しく撫でた。
「こわ……く、ない……?」
「そうだよユイちゃん、なんにも怖いものなんてないよ……」
ユイが落ち着くまで、アスナはユイを抱きしめ続けていた。
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