チームの弱点
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するアレスだが、決して嘘を言っているわけではない。
こちらが動くまで、アレスとコーネリアの艦隊――青軍は劣勢であった。
時間の関係上、局地戦であるから、今回は補給線を気にする必要はない。
ほぼ同数の艦艇での真正面からの戦闘だ。
それでいて、ワイドボーンは優位に戦闘を進めていた。
最後に戦場を動かして、敵を左翼に引きつけて足を止め、同時に斜めに敵左翼に対して攻勢をかけられたが。
次第に強くなっているというのが、アレスの印象だった。
ワイドボーンだけではない。
ローバイクは攻勢にも守勢にも秀でており、さらに後方で補給線を支えることも出来る。顔通りに実直で、自分に与えられた任務を完璧にこなしている。
コーネリアの艦隊運用は、芸術的だった。
原作の艦隊運用の達人であるフィッシャーにはいまだ会えないし、彼の艦隊運用を見た事はないが、それに劣らないのではないかと感じる。
今回は彼女と組む事になったが、劣勢からの艦隊行動はほぼ彼女が行ったものだ。
ワイドボーンやローバイクは苦手ではないものの、自分も含めて彼らであったならば失敗していた可能性もあった。こちらの左翼に敵の意識を引きつけさせて、敵の左翼に中央と右翼をぶつけるという単純な作戦を成功に導いたのは、彼女といっても良かった。
これで原作で名前が出ないのだから……。
原作ではローバイクやコーネリアが加減をしていたなどという事はないだろう。
自分と出会ったから才能が開花したなどと自惚れるつもりもない。
おそらくは。
――才能が理解される前に死んだのだろうな。
ため息混じりに、アレスは呟いた。
この世界は死者が多すぎる。
元々の人口も多いのであろうが、一回の会戦での死者が数十万人単位で増加する。
アムリッツァに至っては、二千万人だ。
アレスの――彼の前世での人口の実に六分の一が死に絶える。
そして、それは優秀である、ないに限らず平等に。
アレスも、彼もまた戦場に出た瞬間に死ぬのだろうか。
「どうした、後輩」
「何でもありませんよ……先輩。どんどん皆強くなっているなと思ってました」
「そうか、それは楽しそうで何よりだ。だが」
小さな舌打ちとともに、ワイドボーンが見たのはテイスティアだった。
自分の欠点を見つめる事が出来ても、元より劣る人間に対して冷たいところまでは矯正できないらしい。
もっとも、そこまでは面倒が見切れないというのが正直なところだが。
ワイドボーンのテイスティアに対する態度は、非常に厳しい。
それは周囲が優秀であるから、よりテイスティアが凡人に見れるのだろう。
艦隊運動、戦術思考、戦略思考――その他、確かに優れているところはなかった。
ワイドボーンい
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