チームの弱点
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本人はなぜ投げられたかわからないようで、地面に叩きつけられて悶えている。
テイスティアの目には、ワイドボーンが手を小さく捻ったようにしか見えなかった。
「屑が。私は学年主席だぞ? 陸戦に技能がないとでも思っているのか」
そうワイドボーンは胸を張ってつげ、残った二人の男に視線を向ける。
「で、貴様らはどうする?」
「あ、いや」
「やはり玉無しではないか。行くぞ、テイスティア」
「は、はい」
慌てたようにテイスティアが頷けば、ワイドボーンはテイスティアの様子を確認せずに、歩きだした。
駆けだすようにテイスティアが続けば、ワイドボーンがちらりと肩越しに見る。
「勘違いするなよ。あんな能無しどもに抵抗できない貴様は、あの能無しよりも遥かに無能だ」
+ + +
赤軍と青軍が並びあって砲撃を開始している。
情報画面に映し出されるのは双方ともに同様の損害だ。
いや、若干青軍の方が被害が大きい。
先に動いたのは青軍であった。
並んでいた状態から左翼が緩やかに左斜めに動きだした。
攻撃線が集中する。
撃ちこまれた中で、敵左翼だけが一瞬身じろぎのように動き出した。
しかし、それもすぐにおさまり再び連携を取って青軍左翼に攻撃が集中した。
と、それまで青軍の色が増加した中で、損傷艦艇に赤軍の色が増えた。
敵の中央と右翼が斜めに駆けあがり、赤軍の右翼に攻撃を集中し始めたからだ。
咄嗟に隊列を変換させようとするも、敵左翼によって右翼はおろか左翼も攻撃のために隊列を前に出している。
一万の砲撃にさらされた赤軍左翼は混乱したように慌てて反転しようとした。
そこに斉射が加われば、もはや崩壊するしかない。
混乱の状況にある中で、中央も右翼もまともな攻勢もできるはずがない。
態勢を立て直そうとしたところで、青軍左翼はすでに初撃から態勢を立て直しており、赤軍右翼に攻勢を加えた。
情報画面では赤軍だけの損傷が広がる中で、降伏の文字が見えた。
ほぼ同時に五つのカプセルから空気を排出する音が聞こえて、筺体全部のライナーがあがった。
局地戦に限定していたとはいえ、実時間で二時間もの戦闘を狭い筺体で過ごしたのだ。硬直した肩を回して、筺体から姿を見せたのはワイドボーンチームの五名である。
申し訳なさそうなテイスティアをローバイクが自然と慰め、コーネリアは結んでいた髪留めを外して、髪をゆっくりとといた。
眉をひそめていたワイドボーンが姿を見せて、同時にアレスもヘッドホンを外した。
非公開試合のため、勝利を告げるアナウンスはない。
それでもどこか楽しそうにワイドボーンがアレスに近づいた。
「また負けたか」
「ぎりぎりでしたけどね」
苦笑
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