第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
三十八 〜大掃除・壱〜
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を取りまとめていた。
「歳三様。これで十分かと」
「後は、風達が集めた証拠と合わせれば、もう年貢を納めるしかないかとー」
「ならば、郭図らを呼ぶとしよう」
すかさず、召喚の使者を出した。
……が。
「郭図は頭痛、審配は腹痛で参れぬ、だと?」
「はっ。そして逢紀様は、家人も行方を知らぬとの事にござります」
その報告を聞いた私は、座を立った。
「皆、大掃除の仕上げと参るぞ。稟、疾風の二人は審配の屋敷を頼む。風、私と共に、郭図の屋敷へ」
「御意です」
「御意!」
「御意ですー」
「そして、彩。逢紀は逃亡を謀る恐れがある。鈴々と共に、城門と城壁を固め、絶対に外に出すな」
「お任せあれ」
郭図の屋敷は、城に程近い場所にある。
「大きなお屋敷ですねー」
「うむ。ただの文官の身分では、これだけの規模の屋敷には到底住めまい」
「ですねー。ではでは、郭図さんのところへ参りましょう」
風と兵を連れ、門に向かう。
すると、厳つい男が、行く手を遮る。
門番なのだろうが、お世辞にも人相が良いとは言えぬな。
「止まれ! ここを何処だと思っている!」
「魏郡太守、土方だ。郭図は在宅であろう、直ちにここに連れて参れ」
「主人は今朝から酷い下痢に見舞われておられる。何人たりとも通してはならぬ、との仰せだ。太守だろうが何だろうが、お引き取り願おう」
「おかしいですねー。郭図さんは確か、頭痛と仰っていた筈ですが」
風の指摘に、男は一瞬怯んだ。
「と、とにかく、取り次ぎは無理だ。さ、お引き取りを」
「時間を稼げ、そのように指示をされているのか?」
「な、何の話だ?」
「惚けるな。さて、そこを退くか、郭図と共に捕らえられるのが望みか?」
「お、脅すのか?」
「……脅しかどうか、試してみるか?」
兼定の鯉口を切り、男に迫る。
「や、や、やってやるっ!」
手にした槍を、繰り出してきた。
……星に比べると、蠅でも止まりそうな勢いだな。
兼定を抜くと、穂先を斬り飛ばす。
そのまま、刃を男の頸に当てた。
「さて、もう一度尋ねるぞ。このまま死を選ぶか、そこを退くか」
「さ、さっきと選択肢が違うじゃねぇか!」
「武人に刃を向けたのだ、当然覚悟があっての事。私は、そう受け取ったまでの事」
男は、ガタガタと身体を震わせた。
「わ、わかった。退く、退くから、剣を引いてくれ」
「……良かろう」
兼定を収めると、男は安堵の溜息を漏らした。
その刹那。
「ぐへっ!」
男の腹に拳を叩き込んだ。
「叩けば埃の出る者と見た。捕らえて、牢に入れておけ」
「はっ!」
兵が二人、男を縛り始めた。
「残
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