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至誠一貫
第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
三十八 〜大掃除・壱〜
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かりはお止め申しますぞ?」

 すると、傍に控えていた彩が、剣に手をかける。

「星! 貴様、殿の思し召しに逆らうつもりか!」
「ああ! 主に真名を預けた身だが、無法には加担できん!」
「見損なったぞ、それでも貴様、武人か! こうなれば、貴様諸共、そこの阿呆共を皆殺しにしてくれるわ!」

 縮み上がった文官共が、必死になって星に縋り始めた。

「お、お助け下さいませ! 趙雲将軍!」
「な、何でも致します。金子をお望みなら、如何様にも。ほ、他にもご所望があれば、何でも。で、ですから!」
「……その言葉、二言はあるまいな?」

 星が念を押すと、文官共はガクガクと首肯した。

「そうか。……主、こ奴らは、斯様に申しておりますぞ?」

 さっきまでの気迫はどこへやら、星は普段の飄々とした様に戻っていた。

「……は?」
「あ、あの……趙雲将軍……?」

 そんな星の豹変ぶりに、文官共は目を白黒させる。

「さ、では全て吐いて貰おうか」
「だ、騙したな!」
「騙すとは人聞きの悪い。私が止めなければ、貴様らは皆、主の手にかかっていたのだぞ?」
「詭弁だ!」
「ほう? 私に言ったではないか、何でもすると、な?」
「だ、黙れ!」
「……武人に対し、言葉を偽るとは。貴様、死に値する!」

 喚き散らす文官に、星が龍牙を向けた。

「はいっ、はいっ、はいっ!」

 鋭く繰り出される槍。
 だが、その一突きたりとも、文官を傷つけはしない。
 その代わり、冠に衣服は穴だらけ、襤褸と化していたが。

「おお、手許が定まらぬな。邪な心の輩は、龍牙では貫けないものと見える」
「全く、精進が足りないのではないか? 私の戦斧ならば、一思いに。……おっと」

 疾風が、手にした大斧を床に落とした。
 大音響と共に、床に大きな穴が開く。

「私とした事が、つまらぬ失態を。では、今度こそ」

 躙り寄る疾風から逃れようにも、星に加え、剣に手をかけたままの彩が仁王立ちしているのだ。
 この場から逃れる方法など、私も思いつかぬな。

「も、もう止めてくれ! 知ってる事は何でも話す!」
「だ、だから、この通りだ!」

 ついに堪りかねたのだろう、全員がその場にひれ伏した。



 結局、思いもよらぬ事実まで含め、文官共は洗いざらい吐いた。

「嵐、元皓。死一等を減じ、私財没収の上一族郎党全て魏郡からの追放でどうか?」
「まぁ、命惜しさとは言え吐いたんだし。おいらは賛成かな」
「僕も、それで十分と思います」
「よし。嵐は星と、元皓は愛紗と共に、速やかに処分にかかれ。従わぬ者は、全て捕らえよ」
「あいよ、任せといて」
「はい、太守様」

 その間にも、稟と風は聞き出した事
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