第十四話 変な髪形をした奴は嫌いだ
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艦隊に同乗している事を考えればあの二人の後援者が誰かは一目瞭然だ。クライストの旗艦リッペにはフレーゲル男爵、ラートブルフ男爵、カルナップ男爵、コルヴィッツ子爵。ヴァルテンベルクの旗艦オーデンヴァルトにはヒルデスハイム伯、シャイド男爵、コルプト子爵、シュタインフルト子爵が乗っている。
司令室に着くと改めて挨拶をした。挨拶を受けるのは爺さんだが実務を仕切るのは俺だ。
「イゼルローン要塞には二十日までの滞在を考えています」
「問題ありません」
要塞司令官シュトックハウゼンが答えた。うん、これで滞在許可が出たわけだ。
「その間休養はもちろんですが修理、補給をお願いします」
「承知しました」
と今度は駐留艦隊司令官ゼークトが答えた。戦闘もしていないのに修理というのも妙だがここに来るまでにエンジントラブルを起こしている艦や兵装関係で支障をきたしている艦が幾つかある。戦闘前に最終調整だ。それと休養と言うのは体調不良を訴える奴はもちろんだが戦闘前の緊張で精神的に問題を起こしている奴が居る。そいつらのケアも含んでいる。
その後は多少の確認事項(どっちに向かうのかと問われてティアマト方面に向かうと答えた)が有った後、皆が用意された部屋に向かった。もっとも俺とヴァレリーは司令室に残った、まだ確認する事が有る。連中が司令室を出る間際に“平民が偉そうに”と言う声が聞こえた。一々貴族だということを主張しないと自分が貴族だという事を実感できないらしい。困った奴らだ。
バツが悪そうにしているシュトックハウゼンとゼークトには気付かない振りをして要件に入った。
「ここ最近の反乱軍の動向は如何でしょう」
「いえ、前回の戦いから大人しいものです。回廊内はもとより出口の周辺でも反乱軍の活動は認められません」
「なるほど」
ゼークトの言う通りなら同盟軍はかなり混乱したようだ。連中の活動が認められないのは偶発的な遭遇戦が大規模な戦闘に進展するのを恐れたのだろう。そこまでの体制が整わなかったのだ。しかし何時までも混乱しているわけはない、宇宙艦隊司令部が全滅したと言ってもビュコックが宇宙艦隊司令長官に就任したのだ、再建はしたはずだ。となるとこちらの出兵計画を知って敢えて控えたかな?
「手強いですね」
「と言いますと?」
訝しげな表情でシュトックハウゼンが問い掛けてきた。
「反乱軍の権威は失墜しました。普通ならその権威を回復させるためにどんな形でも勝利を欲しがるはずですがそれを押さえている。新司令長官、ビュコック提督に焦りはないようです。彼は名将と評価されていますが流石と言うべきでしょう」
「なるほど」
ゼークトも頷いている。
あいつらの居ない所で話して正解だな。同盟軍は手強いなんて言ったら大騒ぎだろう、まともな話が出来る相手じゃないんだから
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