第二部 文化祭
第15話 神聖術
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「キリト……」
「ど、どうしたんだよまりあ」
和人が少し焦ったような返事をする。
「……アスナにはアスナらしい歌、キリトにはキリトらしい歌……というものを作りたいのですが、なかなか歌詞が思い浮かばなくて……」
「それなら、『神聖術』でも使えばいいじゃない」
明日奈が言う。
?神聖術?というのは、俗に言う?魔法?だ。実技の必修単元でもある。
「げっ……」
和人が顔をしかめる。どうやら苦手なようだ。
「キリト君、?神聖術?はちょっと微妙なんだよー。剣がなければ、今頃実技の成績はどうなっていたことやら」
「うあ、それ言うなよ……」
なんだかこの頃、和人と明日奈が恋人……いや、夫婦のように見えることがあるのは、気のせいだろうか。
休み時間などに、なにやらコソコソと話しているところをよく見るし、明日奈は和人のお弁当を毎日作ってきているし。
──もしかして、付き合っているのだろうか。
「……キリト。ちょっと失礼します」
「えっ?」
まりあは隙をついて、和人の襟首を掴んだ。
明日奈は動揺の表情を見せている。
和人に小声で訊いてみる。
「……アスナと付き合ってるんですか?」
「な、なに言ってるんだよ!?」
和人はまりあの手を振り払うと、数歩後ずさった。
背後には、いつのまにか小さな少女が立っていて、和人と軽く衝突する。
和人は目を見開くと、その場にしゃがみ、少女と目線を合わせ言った。
「ユイ! なんでこんなところに……ていうか大丈夫か!?」
「うん、だいじょうぶ」
ユイというらしい少女がニッコリと微笑む。
ユイは首を傾げ、不安そうな表情になって訊く。
「……パパ、うわき?」
──浮気?
──というかそれ以前に、今『パパ』って言った!?
「パ、パパって、キリト……!」
「まりあ、誤解しないでくれる!?」
「だってこの子今、パパって! 浮気って!」
和人が首をぶんぶん横に振っている。
「見てみろよ! この子どう見ても小学生だろ!? 高校生に小学生の娘がいるか!?」
ユイを手で示して言う。
「じゃあ、きちんと説明して下さい!」
「……いいんじゃない? キリト君。別に、隠すような疚しいことなんてしてないんだから」
明日奈が溜め息混じりに言った。
***
「へえ……不思議なお話ですね」
和人と明日奈の説明後、まりあはユイを見て呟いた。
「パパ」
「どうした、ユイ?」
「ユイも唄いたい」
和人は苦笑いを浮かべる。
「……あのなユイ、唄うっていうのは、ただ喋るだけじゃないんだぞ?」
「ユイ、唄える!」
「……そこまで言うなら……。まりあ、一
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