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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
破滅の抜け道 C
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見えていた。
何かしらの責任感から、死へと向かう姿が。

「何度も言っているだろう!私は、この世から消えるべき存在なのだと!」

スレイブが手刀を振り上げるが、一輝はその手をつかみ、顔を近づける。

「そんなこと言うな。」
「っ!」

一輝は今までにないレベルの真剣な声で言う。

「オマエはちゃんと自我を持ってる。強い責任感を持ってる。そんなやつがこの世からいなくなったほうがいい訳がない。」
「それは、お前の考えだろう!」
「そうだ。ただの俺の、超個人的な考えだ。だからこそ、俺の目の前でそんなことを言ってたら、全力で止める。」

一輝はスレイブの目を見ながら、説得を続ける。
もちろん、万人は救われるべき、だなんて思っていない。
それでも、自分が救いたいと思ったら全力で動く。
それが、寺西一輝という人間なのだ。

「だが!私の持つ呪いは、この世にあっていいものではない!そして、この呪いはそう簡単には消えん!私ごと消えるのが、一番の方法なのだ!」
「呪いが消えれば、それでいいのか?そうなればオマエは、生きていくのか?」
「そんなこと、あるわけが・・・」
「俺には出来る。だから、オマエの呪いを・・・」

教えてくれ、と続けようとする一輝の声をさえぎり、スレイブが感情を乗せきった声で叫ぶ。

「私の呪いは!“一度鞘から抜かれたら、必ず誰かを殺す”!確かに、この呪いが消えるのならば、それはとても素晴らしいことだ!だが、私はお前を、こんな醜悪な呪いを消せるとは、信じられない!」

一輝は、やっと本心を語ってくれたことに少しうれしく思い、説得を続ける。

「そこは、信じてくれとしか言えないな。」
「それが出来たら・・・こんなに苦労はしていない・・・!」

スレイブは涙を流しながら、感情を吐露していく。
心を覆う鞘もなくなったタイミングでスレイブの手を離し、両肩をつかむと、自分に出来る最大の提案をする。

「だったら、俺はオマエを上に投げる。刃が下になって、俺を貫くように。」
「っ!」
「だから、オマエが俺のしたことで満足できなかったら、俺を貫け。そうすれば、俺を殺して、呪いによる犠牲も出来て、普通に生活できる。」
「だが、私の呪いは・・・」
「消えないな。それでも、もう一度鞘をかぶせる、ってことをしない限り、呪いは達成されたままだ。何も問題はない。」

スレイブの表情は、驚愕に固まっていた。
目の前にいる男の善人っぷりに。
自分の命を差し出してまで、人を助けようとすることに。
だから、まだ疑っていた。

「そんなことをして・・・お前に何の得がある?」
「得かぁ・・・一つ目は自己満足かな。」

この理由そのものには、納得できた。
だが、命を懸けるレベルではない。


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