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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-Final 最終話
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「決して楽ではありません、恐らく厳しい旅になると思いますよ。それでも宜しいのなら、私は貴女を連れて行きますよ」
「はい!私、負けません!どんな事があっても……私はハルカ様についていきます!」
僕は大きく頷いた。
「そう言うと思いましたよ」
「ありがとうございます!」
「そうか。決まったか。……しかし、今はまだ許されないな」
「……え?」
僕とローラ姫はラルス王のほうを見る。仲は認めてもらった。しかし、何かが足りないと言うのだろうか。
「春になってから旅立ちなさい。今の時期は海が荒れている。もう少ししたら航海がしやすくなるだろうからな」
なるほど、アレフガルド地方の周りの海は、冬の時期、荒れているから、危険だと言うわけか。
「解りました。……ところで、王様、新しい王妃との結婚式は何時ですか?」
「アメジストの月の最初あたりの日だ」
「なるほど」
「ハルカよ。ローラと共に旅立つまで、この城にとどまると良い。そして、旅立つ前日……いや、その話は後にしておこう」
ラルス王は何故か言葉を濁していた。
「……?ありがとうございます」
僕は首を傾げつつ、礼を言った。

ラルス王の結婚式まで、僕はスライムの家族に会ったり、ガライの町に挨拶をしに行った。
スライムの家族は大喜びで。僕に何度もお礼を言っていた。そして今度は大きな草餅を貰った。
「ありがとう。さようなら」
僕がアレフガルドを離れると言うと、スライムの家族は寂しそうだったが、応援してくれた。
ガライの街では、やはり人々は陽気に歌っていた。
仲には僕をたたえる歌もあり、僕としては、何だか照れくさかった。
ガライの墓の前のホールに居た人たちはいつの間にか街へ出てきていた。
外の空気を吸いたかった、らしい。
何がともあれ、元気な街の人々を見るのも、良いものだと僕は思った。

ラダトームへ戻ってから数日後、アメジストの月。ラルス王とマリサ新王妃の結婚式が行われた。
城の皆、街の皆は彼らを祝った。僕とローラ姫も精一杯祝った。
その披露宴パーティの際、マリサ王妃はローラ姫に、
「貴女も勇者ハルカさんの妻となり、勇者ハルカさんが王となったとき、貴女は王妃になるのでしょう?」
と笑顔で言った。
「……そうですね……」
ローラ姫は赤い顔でもじもじしながら答えたという。
すると、披露宴の最中、ラルス王が賑わっている中、叫んだ。
「このラルス王からお知らせがある!」
宴会場は一気に静まり返る。
「実は、アクアマリンの月に結婚式を挙げようと思うのだ!」
「…いや、王様、今挙げたじゃないですか」
大臣が突っ込んだ。しかし、
「私のではない!……ハルカとローラ姫の結婚式を行う!」
「……!?」
寝耳に水だった。もしかして、あの時言葉を濁していたのって…
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