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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-6 第24話
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した。
そのさい、爆風が巻き起こり、空中から降りる途中の僕もそれに巻き込まれた。
再び壁に激突する。
「……!」
意識は何とか持った。
「竜王は!?」
僕はじっと爆風がおさまるのを待った。
竜王は……倒れていた。血を流し、ピクリとも動かない。
「倒した……のか?」
僕は竜王に近づいた。何の反応もない。
顔を見ると、竜王は白目をむいていた。
……もう、動き出すことはない。僕はそう確信した。

僕は、竜王を倒した。

コロン、と何かが転がってきた。
僕はそれを拾い上げる。これは……光の玉!
そう、僕の役目はもうすぐ終わりを迎える。
僕は光の玉を空に向かって掲げる。玉から眩い光があふれ出た。あまりの眩しさに、僕は思わず目を閉じる。
それと同時に、意識が一気に遠のいた。

気がつくと、僕は竜王の城の前で倒れていた。
「……終わった、のか」
「ああ…」
竜王の城の内部から影が現れた。竜王子だ。
「ハルカ……ついに、やったんだな。俺は……嬉しい」
「ああ。僕は竜王を倒した。紛れもない事実だよ」
いつの間にかいつもの鎧兜に戻っていた。ロトの鎧は魔法の道具袋に戻っていた。あの兜は見当たらなかった。
「良かった……見ろよ、周りは毒沼だったのにお花畑になっている!」
竜王子の言うとおり、毒沼だった場所はお花畑に変わっていた。もしかしたら、他のところもそうなのかもしれない。
そして空を見る。今まで見たことのない、澄んだ青空が僕の目に映る。
「綺麗だな」「ああ」
「ところで、竜王子。君はこれからどうするの?」
「俺は、ここにいる。ここで親父の罪を俺が償うんだ。城から動かずにな」
竜王子は笑いながら、そう言った。
「ハルカは、どうするんだ?」
「僕はね……しばらくしたら、アレフガルドを離れようと思うんだ」
「そうか。外の世界も、広いからな。さあ、ハルカ。ラダトーム城へ。みんな待ってると思うぜ」
「ああ。そうだね。……じゃあ、竜王子、さようなら。ありがとう!」
「ハルカ!俺も、ありがとう!!」
僕達は強く手を振った。竜王子は出会ったときよりも活き活きしていた。
これから、竜王子は大変な時を生きると思う。けれど、彼ならきっと、上手くいくと僕は思う。

僕は歩き出す。ルーラを唱えても良かったが、とりあえずしばらくは歩いていたかったのだ。


――次回、最終回。
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