Chapter-6 第23話
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「!?」
人影が見えたと思ったが、そいつは人ではない。肌の色が明らかに違う。
人の耳がない。頭はとがった耳のような突起物が水平方向に伸びている。頭には布を巻いているようだった。
服は青いローブ、紫色のスカーフ。そいつは、何かを持っていた。
何か……それは、ロトの紋章のついた剣であった!
「誰だ!」
ハルカは警戒して剣に手をかけようとした。ところが、
「違う、俺は敵ではない。お前は……勇者だろう?勇者ロトの血を引く、勇者なんだろう!?」
彼は叫んでいた。なにやら、真剣で、少し、怯えていた。
「そうだけど……。君は、誰なんだ?見たことのない、“ひと”だけど」
彼は、息荒くして、汗をかいていた。緊張している様子も見受けられる。
「……俺は……竜王の息子だ」
「!?」
信じられない言葉が現れた。
「竜王…の…息子?」
「ああ。誰も知らないよな。竜王には俺と言う息子が居たんだ。そして、もちろん」
「君の母親も居た……」
ハルカにとって初耳の事実。竜王には、妻と息子がいたのだ!
「ああ。でも、俺の親父は、……酷い親父だ!世界を闇に染めるとか言い出して……狂い始めたんだ!」
「それで……」
「ああそうだ。俺の親父は、元々忌まわしき大魔王の居た城を占拠し、……アレフガルドを荒らし始めたんだよ。魔物を凶暴化して、町を滅ぼして……」
「僕の両親、ローラ姫の母親を」
竜王の息子――竜王子は頷いた。更に彼は、
「アレフガルドに現れる前……闇に染まった父さんは……俺の目の前で……目の前で……母さんを!!」
怒り来るって叫んだ。ハルカにも竜王子の言うことは理解できた。
「最低だな、竜王……」
ハルカも低い声でこう呟いた。怒りに震えていた。
「そうだろう!?名前……ハルカか。勇者ハルカ!お願いだ。これ、これで俺の父さんを倒してくれ!俺は殺されなかったけれど、父さんに力を奪われた。だから戦えない……それに、これは使いこなせなかった。でも勇者ハルカ、お前なら、これを使いこなせる!絶対に!」
竜王子は持っていた剣をハルカに手渡す。ハルカは手に取ると、剣を抜いてみた。驚くほど軽い。
「これは……ロトの剣!」
「そうだ。伝説の勇者ロトが使っていた“王者の剣”なんだ。子孫のお前なら、…」
「ああ、使いこなせるさ。見事に僕の手にフィットしている」
ハルカは竜王子から少し離れ、剣を振る。美しい軌跡が描かれる。
そしてその後、剣を腰に挿す。サイズは自由自在に変えられる。
「そうだ。良かった。……会えて、良かった」
竜王子は背中を壁に着けて、ズルズルと座り込んだ。
「……僕もさ。君……竜王子の意思、僕がかなえてみせるよ」
「勇者ハルカ、ありがとうな」
安堵か、竜王子は力無く笑った。笑みが消えると、怒りの表情になる。
「俺は親父を許
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