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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-6 第23話
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「あ、……僕を倒さないの?」
おどおどとした態度であった。
「気になるからさ。はぐれメタルはアレフガルドから去っていったと僕は聞いたんだよ」
「……僕は、ここが好きだから。ここを、離れたくないんだよ」
このはぐれメタルはどうやら後者の方らしかった。
「昔からここに?」
「うん。でも僕のご先祖様はリムルダール周辺に居たんだ。でも、仲間のほとんどはリカントにころされたんだ」
「リカントよりここの魔物の方が物騒だと僕は思うけど」
「確かにね。でも、こっちの方が住み心地はいいんだ」
何故はぐれメタルがこんなところにすんでいるか、話してくれたものの、ハルカには理解できなかった。
洞窟の環境のせいなのか?しかし沼地の洞窟の方がまだ…。
ハルカは、僕等人間と価値観が違うのだなと自分に言い聞かせた。
「ねえ、勇者さん。勇者さんは僕を倒すの?」
「いや。お前は倒さないよ。良い心を持っている感じだからね」
魔物すべてが悪ではない。悪から逃げた魔物もいるのだ。
「良かった。勇者さんは強いから、僕を倒さなくったって、強いよね」
「ありがとう。ねえ、先に行っていい?」
「うん。ごめんね。無駄足だった?」
「いいんだ。少し落ち着いた」
ハルカははぐれメタルに礼を言った。はぐれメタルは嬉しそうに溶ける仕草をする。
(魔物も悪の心を捨てれば、可愛いものだな。キメラ便のキメラもそうだ)
「はぐれメタル君、僕は行くね」
「うん。バイバイ。……竜王、倒してね」
最後の声が少し悲しそうだった。それが何を表しているのかは、解らなかった……。

ここにははぐれメタル以外の、悪意のない魔物はいない。
当然だ。そこが、“ラストダンジョン”だからだ。
竜王の悪意に染まり、勇者ハルカを襲う。
ハルカは当然迎え撃つ。剣、魔術。
削れた体力は魔術で回復した。時々は、ロトの鎧の力も借りた。
削れた魔力は祈りの指輪で回復した。ラダトーム倉庫から大量に見つかったと、トルコ石の月に、国王から貰ったものだ。
ハルカは生きている。いや、死ぬわけにはいかないのだ。
「僕が、竜王を倒すのだから」
レミーラで明かりを確保しつつ、進んでいく。
階層は一段、また一段、と降りていく。

分かれた道があった。どちらかが正解で、どちらかが不正解の道だ。
「……ん」
ハルカは胸元を見た。ロトの印が光っている。中央の赤い宝石部分から光線が放たれた。
「正しい道を、示しているんだ……ロト様が、教えてくれている」
ロトの印の光の指す方向へ、ハルカは歩き出す。
少しすると、上に向かう階段があった。
「…?」
わけのわからないまま、階段を上る。今ハルカにはそれしか方法はない。
上の階へあがると、近くに更に上り階段がある。
ハルカは更に上がる。すると……。

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