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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-6 第22話
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の石版に太陽の石と雨雲の杖を置くのだ」
名乗っていないのにどうやって自分の名前と、太陽の石と雨雲の杖を所持していることを知っているのだろうか。
ロトの印は身に着けているため、理解できたのであろうが。
「勇者ハルカよ、わしは能力でお主が来ることを感知した。そして、今その時が来た」
「そうですか」
ハルカは恐らくその時に、僕のことを知ったのだろう、と思った。
そして、賢者ディヴァンの言うとおりに、石版に太陽の石、雨雲の杖をはめ込んだ。
すると石版と、その奥に置かれた真紅の箱が輝き始めた。一瞬、眩しさにハルカは目を閉じた。
しばらくして目を開く。光の色が違う。
「……」
そして箱が完全に開いた。
「さあ、箱の中身を取るが良い」
箱の中身は虹色に輝く宝石であった。ハルカはそっと手に取る。
虹色に輝くそれはペンダント状になっており、部屋が少し薄暗いのに明るく光っている。
「虹の……雫」
「そうじゃ。魔の島に渡る為に必要なもの。古の勇者ロトもお主と同じように試練を受け、太陽の石、雨雲の杖、そして、“証”を持ち、ここへ訪れたのだ。さあ、手にしたのならもうここには用事はない。それを持って、竜王の城へ向かうが良い」
賢者ディヴァンは淡々と話す。目だけはしっかりとハルカを見つめていた。
表情は恐らく、険しいものだろう。
石版と真紅の箱はいつの間にか消えていた。役目を終えて、姿を消したのだとハルカは悟る。
(たしかに、ここに用はない……しばらくはな)
ハルカは言うとおりに頷くと、聖なる祠の扉を開け、礼を言って外に出ようとした。
「勇者ハルカよ」
「?」
賢者ディヴァンが呼び止めた。
「……なんでしょう?」
「…………死ぬな。何としてでも、竜王を…すのだ」
じっとハルカを見ている。表情は無表情だ。しかし、言葉には力がこもっていた。竜王を、憎んでいるような。
「解っています」
その気持ちはハルカにも伝わっていた。というよりも、ハルカも同じ気持ちなのだ。
聖なる祠の扉を開ける。より、力を入れて。

リムルダールに一泊し、更に一日後、とある場所に来た。
場所は地図で解っていた。ここで虹の雫を使うのだと。
ハルカは深呼吸をした後、虹の雫を空に掲げた。
すると太陽の光と、雨雲が現れ、同時に降り注ぐ。
そして数十秒後、架け橋が出来た。虹色をした架け橋である。
ハルカは虹の架け橋に足を踏み入れる。
(もう、後戻りは出来ない)
ハルカは数歩歩いた後、王女の愛を取り出した。
ローラ姫の声が聞きたくなった。いつでも声は聞ける。けれど今、聞きたくなったのだ。
気持ちが落ち着かないのかもしれない。
「ローラ姫。……僕は竜王の城へ乗り込みます」
「ハルカ様……。ついに、ですね」
「ええ。大丈夫。これは洞窟の中でも話せそうで
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