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DQ1長編小説―ハルカ・クロニクル
Chapter-6 第21話
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てイアンはローラ姫に頭を下げる。ローラ姫も戸惑った様子で、
「いえ、あなたは本当のことをおっしゃっているのですよ?謝る必要などありませんわ」
と答えていた。
ハルカはようやく顔を動かした。そしてローラ姫のほうを見て微笑む。
「ハルカ様。私は国の姫として生まれ育ってきました。回復呪文と、非力なバギしか扱えません。ハルカ様の言うとおり、ロト様の血を引く者が皆勇者ではありません。私には戦えるだけの力はないのです。……少しでも、力があれば、ロト様の奥様ぐらいの力でもあれば、戦えたのに……」
ロトの妻、僧侶プラチナはロトと仲間達の中でも体力も力もない、と本人が話していた。ローラ姫は、僧侶プラチナが持つ力にすら及ばないのを知っていた(ハルカも)。
「ローラ姫……貴女の分も、僕は戦いますから」
「ハルカ様……」
「ローラ姫は、ハルカさんを励ましにこちらへ?」
イアンの問いに、ローラ姫は大きくゆっくりと頷いた。
「ええ。……」
そして俯いた。
「ローラ姫……」
「不安はあって当然ですよ、姫様。僕だって、不安なんです。でも僕は、何としてでも……竜王を討ち取ってみせますから」
「そうですわよね。……信じてますわ」
「俺もだ」
ハルカがロトの印を握り締め、その手をローラ姫の手が覆う。イアンはハルカの肩を叩いた。
ハルカは黙って頷いた。不安と強い意志が混ざり合い、心が熱くなる感触を覚える。
(僕は……戦う。最後まで……)

ラルス王の謁見の間。
ハルカはロトの鎧姿に変えていた。
当然、ハルカはラルス王に竜王を討伐しに向かうことを告げに来た。
ラルス王は「ついに来たか」と言った表情を浮かべた。
元々、ハルカの使命は竜王討伐で、それを命じたのはラルス王。この時が来るのは解っていたはずである。
しかし、いざこの時が来ると、不安な気持ちが心の底から立ち込めてくるのである。
もちろん、ハルカを信用していないわけではない。不信と不安は違う。
「勇者ハルカよ、竜王を倒し、生きてここ、ラダトーム城まで戻ってくることを、私は信じておる」
「はっ、私も、竜王を倒して生きてここへ戻ってくることを誓います!」
「……期待しておるぞ。わが娘、ローラの笑顔を、失わせてはならないからな」
「存じております」
ハルカも気持ちは同じ、ローラ姫の笑顔を失いたくない。
ただ、ラルス王は、ハルカとローラ姫の恋仲を理解しており、ローラ姫の笑顔をと言う言葉は、一段と強く言っていた。
そして、ラルス王自身も……。

準備も念入りだ。
もしもの為の松明、薬草。食料。イアンの妻、サユリからはいつもの保存食。
“王女の愛”は絶対になくさないように。
ハルカは魔法の道具袋を覗き込み、何度も確認をした。
不安と期待と何かが入り混じる。
しかし、竜王は絶対に倒
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