第十一話 困ったときには原作知識
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しかけてきたが後にしろと言って遮った。そしてグリンメルスハウゼンを呼び出す、こっちが先だ。老人はいつも朝九時に元帥府に来て夕方五時になると自宅に帰る。最初に執事が出たが直ぐに老人に替わった。
『どうしたのかな、総参謀長』
「今夜、ブラウンシュバイク公爵邸で皇帝御臨席による親睦会が行われた事は御存じでしょうか」
『うむ、聞いておる。招待状が来なかった故行かなんだが』
残念そうな表情だな、老人。
「公爵邸で爆弾テロが有りました。犯人はクロプシュトック侯のようです」
『おお、クロプシュトック侯! なんという事を……』
眼が飛び出しそうになっている。
「幸い陛下は御臨席を取り止めておられました。しかし一つ間違えば大変な事になるところでした」
『おお、御無事か、御無事であられたか』
爺さん、今度は目をショボショボさせているな。うん、まあこういうのは嫌いじゃない。ここからが本番だ。
「直ちに新無憂宮へ、陛下の元に参内をなされるべきかと思います」
『う、御見舞いかな。それなら明日でも良かろう。今夜はもう遅い』
まだ八時にもなっていない! 皇帝が無事だったからと言って怠惰な老人になるな! 腹立たしかったがそれを押さえてもう一度要請した。
「いえ、直ちに参内を。陛下の御命を狙った反逆者は討伐されなければなりません、それは閣下が為されるべきです。そうでなければ陛下の御宸襟を安んじる事は出来ませんぞ」
『おお、そうじゃの』
ようやくやる気を出したか。俺の周囲からも多少のざわめきが聞こえる。
「まだクロプシュトック侯と断定されたわけではありませんが討伐隊の指揮官は決める必要が有ります。帝国軍三長官にも参内していただきましょう。小官より連絡いたします。閣下は新無憂宮へお急ぎ下さい」
『おお、分かった』
通信が切れると皆が期待に満ちた視線を向けてきた。話は後だ、元帥府のメンバーを至急会議室に集めるように指示すると直ぐに帝国軍三長官に連絡を入れた。流石に三長官は違うな、三人ともまだ職場に居たよ。
「ブラウンシュバイク公爵邸での事件、既にご存知かと思いますが」
俺が問い掛けると三人が頷いた。
「グリンメルスハウゼン元帥が間もなく参内し討伐隊の指揮官を願い出る事になっています。帝国軍三長官の御口添えを頂きたいと思います」
『我らにも参内しろと言うのか』
「はい」
不満そうだな、シュタインホフ。爺さんは俺に押し付けて関わり合いたくない、そんなところだろう。今度はエーレンベルクが口を開いた。
『しかし犯人はまだ分かっておるまい。クロプシュトック侯が怪しいとは言われているが……』
怪しいんじゃなくて犯人だよ。
「今回の凶行、ブラウンシュバイク公爵邸で行われました。大勢の貴族に死傷者が出ています。いわばブ
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