第十一話 困ったときには原作知識
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真の理由は別にある。あれはこちらへの打診だ、味方にならないかとブラウンシュバイク公が声をかけてきたのだ。連中、必死らしい、翌日にはリッテンハイム侯の血縁者がやってきた。阿呆が、お前らなんかと組めるか!
『パーティの最中に爆発が起きた。多くの貴族、高級士官が犠牲になっている。即死者は十人以上、負傷者は百人を超えている。そのうち半数は助からないだろうな。ブラウンシュバイク公も負傷した、軽傷だがな』
「そうか」
周囲の人間が息を呑むのが分かった。ヴァレリー、クレメンツ、メックリンガー、リューネブルク、ミュラー。他にも兵站統括部から後方支援のために来てもらった人間が二十名ほどいる。皇帝暗殺が謀られた、生死はどうなのか、そう思ったのだろう。安心していい、あのジジイは悪運には恵まれ過ぎる程恵まれている。皇帝にまでなったのだからな。もっともその事が本人にとって幸か不幸かは分からんが……。
『幸い陛下は御気分が優れず御臨席は取り止めになったから大事にはならなかったが……』
ほらな、心配は要らんのだ。誰かがホッと安堵の息を吐いた。まあ今死なれたら内戦まっしぐらだ。吐息ぐらいは吐きたくなるだろう……。
ブラウンシュバイク公も負傷したか、死んでくれればな、リッテンハイム侯に罪を擦り付けて両家の勢威を叩き潰してやれたんだが。そうなればグリンメルスハウゼンもお払い箱だ、俺も御守りから解放されただろう。悪運に恵まれているのは皇帝だけではない様だ。それとも俺が恵まれていないだけか……。いやもう一人恵まれていない奴が居るな。クロプシュトック侯、あんたが一番恵まれていない。俺にも利用されるのだから。
「犯人は誰かな?」
『クロプシュトック侯らしい。彼が忘れ物をして帰った事が判明している。しかも爆発は忘れ物の有った辺りで起きた。それにあの御仁が社交界に現れたのは三十年振りだ、余程に深い恨みが有ったらしいな』
皮肉か、キスリング。お前に冷笑は似合わないぞ。どうやらクロプシュトック侯の事を良く知っているらしいな、調べたか……。
「そうか、有難う、ギュンター。報せてくれて」
『いや、何か有ったら教えてくれと言われていたからな。まさかこんな事を報せる事になるとは思っていなかったが』
「私もだ、こんな悪い報せが来るとは思わなかったよ」
キスリングが微かに笑みを浮かべた。
『卿に頼まれてから一週間と経っていない、偶然かな?』
「偶然だよ、ギュンター。私が心配したのは血迷って暴発する貴族が居るんじゃないかという事だった」
『居たじゃないか』
「確かにね、だが予想とは違った」
キスリング、お前の言う通りだ。偶然じゃないさ、全て予想通りだ。ウィルヘルム・フォン・クロプシュトックの動きは逐一押さえていた……。
キスリングとの通信が終わると皆が話
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