第十一話 困ったときには原作知識
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務める士官がどうしても足りない。
艦隊司令官はレンネンカンプ、ロイエンタール、ミッターマイヤー、ミュラー中将。そしてその配下に副司令官としてシュムーデ、リンテレン、ルーディッゲ、ルックナーの各少将が配属されている。でもその後が続かない、本来なら各艦隊にあと二名は少将クラスの分艦隊司令官が居るのだけれど……。いや何よりグリンメルスハウゼン元帥の直率艦隊でさえクレメンツ少将が副司令官に決まっているだけだ。どの艦隊も中途半端になっている。
適当に数合わせで選ぶというのも有るんだろうけどヴァレンシュタイン大将は頑としてそれを拒んでいる。ミュッケンベルガー元帥が国内の治安維持に専念するため今後、遠征には出られないらしい。そのためグリンメルスハウゼン元帥配下の艦隊がこれから前線に出る事が多くなる。だから適当な士官を配備して損害が多くなることは避けたいと言っている。
結構頑固なのよね、ヴァレンシュタイン大将は。でも損害を少なくしたいというのは好感が持てる。わりかし部下思いなのよ、この人。性格は悪いし油断は出来ないけどグリンメルスハウゼン元帥が頼りにならないからこの人が全部背負って苦労している。時々可哀想になって抱きしめてあげたいとか頭を撫でてあげたいとか思うんだけど実際にやったら馴れていない猫みたいに嫌がるわよね、それはそれで可愛いんだけど。
「准将達に千隻程率いさせるしかないな」
「はあ」
「それでも足りない、どうすればよいのか……」
「どうすればいいんでしょう」
私と少将は溜息しか出ない。
「一日に一つ、奇跡が起きないとどうにもならないな、年内出兵は無理だろう……」
「そんな……」
「そのくらい深刻だよ、フィッツシモンズ少佐」
「……」
分かっています、クレメンツ少将。ヴァレンシュタイン大将、どうするんです、この事態……。憲兵隊本部なんかに行ってる場合じゃないと思うんですけど……。
帝国暦 486年 8月20日 オーディン グリンメルスハウゼン元帥府 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
元帥府の一室、事務局長室のTV電話が鳴った。受信ボタンを押すとスクリーンにキスリングが映った。緊張した表情だ、やれやれだな、ようやく起きたか……。
『エーリッヒ、大変な事が起きた』
「と言うと?」
『今夜、ブラウンシュバイク公爵邸で皇帝陛下御臨席による高級士官と貴族達の親睦会が有った』
「……」
俺は黙って頷いた。有難い事にグリンメルスハウゼン元帥府の人間には招待状は来ていない。理由は簡単だ、ブラウンシュバイク公はグリンメルスハウゼン元帥府を敵だと認識している。先日、ブラウンシュバイク公と血縁関係に有る士官が元帥府に入りたいと言って来たが断った。
無能だから役に立たないというのが理由だが
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