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銀河英雄伝説〜悪夢編
第十話 どうして俺を頼るんだ
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性を考えれば灰色か黒、或いは同盟の様にダークグリーンに塗るのが妥当なんだ、それなのに……。色を塗り替えましょうって言ったんだけどグリンメルスハウゼンは白のままで良いとか言うし……。

俺の苦労など何も分かってくれない。あんたを司令官に担ぐだけでハンデを負っているんだ。その上に真っ白な旗艦? どう見ても苛めとしか思えないだろう。誰かが俺を苛めて喜んでいる、俺が苦しむのを見て喜んでいるんだ。

あんな真っ白い艦なんて貰って喜ぶのはラインハルトみたいな天才か何も戦場の事を知らない阿呆だけだ。オストファーレンの方がグリンメルスハウゼン老人にはぴったりなのに……。あの古ぼけてカビ臭いオストファーレン……。

元帥府をどうするかな、皆グリンメルスハウゼンが無能だって事は分かっている。誰も幕下には入ろうとしないだろう。ミュラー達は元帥府に入ると言ってくれたけど俺の方から断った。元帥府に入るメリットは元帥の政治力、影響力を当てにできるという事だ。残念だがグリンメルスハウゼンにはそれは無い。多分、貧乏籤を引くだけだ。一生の問題だからな、無理をして俺に付き合う事は無いさ。大体爺さんが何時まで生きているかも分からないんだから。

俺と老人の二人だけでもいい……。一応ヴァレリーもメンバーに入るのかな、だとすると三人か。形だけの元帥府だ、元帥府に使う建物も小さいもので良いだろう。出征の準備は宇宙艦隊司令部の参謀にやらせれば良いし問題はない筈だ。問題なのは正規艦隊司令官だな。一応ミュッケンベルガーは九個艦隊をグリンメルスハウゼンの指揮下に置いていいと言ってくれているんだけど……。

今の所正規艦隊司令官にするのはミュラー、ロイエンタール、ミッターマイヤー、レンネンカンプの四人だけだ。問題は後五人をどうするかだ。ワーレン、ルッツ、ケンプ、ビッテンフェルト、ケスラー、メックリンガー、シュタインメッツ、ファーレンハイト、アイゼナッハ……。
一杯候補者いるんだけど皆階級が低いんだ、准将とか大佐だ。取りあえずは該当者無しで空席かな。訳の分からん人間を司令官にしても仕方ないし……。

ミュラー達に元帥府に来るなと言ったのも一つはそれが有る。分艦隊司令官に任命する人間が居ない。彼らに艦隊編成を手伝ってくれと言われても……。ちょっと狡いかもしれないが彼らに頑張って貰うしかない。俺は爺さんの面倒を見るだけで手一杯だ。

つらつら考えていたら何時の間にか元帥杖の授与は終わっていた。ワルキューレは汝の勇気を愛せりが流れる中をグリンメルスハウゼン老人がよたよたと歩いて来る、今度は嬉し涙を流しながらだ。頭が痛いよ、何だってこんな式典をやるのか……。この後は翠玉(すいぎょく)の間で祝勝パーティだったな。あれ、嫌いなんだよな、益々頭が痛くなってきた。今日は最悪の一日になりそうだ……。

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