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銀河英雄伝説〜悪夢編
第九話 お願いだから退役させて
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が進まない。それに向こうは向こうで大変だろうしな」
良く出来るものだ、あの老人の参謀長など俺には到底耐えられない……。



帝国暦 486年 6月 25日  オーディン  新無憂宮  エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



オーディンに戻ると皇帝フリードリヒ四世は回復していた。死んでいてくれればあの老人に遠慮はいらなくなる。しかし帝国は内乱に突入しただろう。多くの人間がフリードリヒ四世の快癒を喜んでいるが本当に目出度い事なのかどうか、俺は今一つ判断が出来ずにいる。

ラザール・ロボスを始め同盟軍の宇宙艦隊司令部要員は全て捕虜になった。しかしヤンとキャゼルヌは居なかった。どうやらシトレに近い事でロボスによって追い払われたらしい。ロボスにしてみればあの二人は冷めた目で自分を批判的に見ている嫌な奴なのだろう。余計な事を……。

代わりに捕えたのがグリーンヒル中将とフォーク中佐だ。同盟軍の癌をごっそり削ぎ取ったって感じだよ。これじゃあ馬鹿みたいな帝国領出兵もクーデターも起きる可能性は皆無に近いんじゃないだろうか。一つ躓くと滅茶苦茶になるという見本だな、これは。

ミュッケンベルガー元帥に新無憂宮に来いと呼び出された。そしてまたあの女官に案内されてあの部屋に向かった。待っていたのはあの時と同じ面子、帝国軍三長官とリヒテンラーデ侯だ。四人とも渋い表情をしている。多分俺も同様だろうな。

「今回の遠征、御苦労だった。卿の危惧した通りだった。反乱軍のロボス大将はイゼルローン要塞の攻略を考えていたらしい。危ない所であった、卿が気付かなければ帝国は酷い混乱に陥ったであろう。良く防いでくれた」
「はっ」
エーレンベルクが俺を褒めた。気を付けろ、この程度で油断すると足元を掬われるぞ。大体誰一人として笑顔を浮かべていない。

「グリンメルスハウゼン上級大将は元帥に昇進する」
まあしょうがない事だな。そうは思っても気が重い。帝国は一体何処に行くのか……。
「そして宇宙艦隊副司令長官に就任する」
「はあ?」
正気か? 思わず四人の顔をまじまじと見た。冗談を言っているようには見えない。いや待て、権限の無いお飾りという事か。それなら納得できる。今後はオーディンで御留守番だな。

「ヴァレンシュタイン中将、卿は大将に昇進する」
「はっ」
「そして宇宙艦隊総参謀長に就任する」
「はあ?」
なんだ、それは。俺が総参謀長? 良いのか、そんな事して。古参の大将クラスで総参謀長をやりたがっている奴は幾らでもいるだろう。俺なんか総参謀長にしたらブウブウ言い出すぞ。

俺が戸惑っているとミュッケンベルガーが後を続けた。
「卿の最初の任務はグリンメルスハウゼン副司令長官率いる遠征軍に同行し反乱軍を撃破する事だ」
「……それは、もう一度アレを
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