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銀河英雄伝説〜悪夢編
第八話 なんでそうなるの?
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総指揮を執るのであれば別ですが……」
それでも一カ月は指揮系統がグチャグチャなままで戦う事になる。それがどれだけ危険かは第五次イゼルローン要塞攻防戦を思えば良い。

『無理だ、そんな余裕は無い』
ミュッケンベルガーが力無く首を横に振った。そうだろうな、そんな余裕は無い筈だ。そしてグリンメルスハウゼンにはミュッケンベルガーの様にイゼルローンの防衛体制を一つにまとめ上げるだけの力も権威も無い。

「この場にて戦うしかないと思います。反乱軍に痛撃を与える。それが出来れば反乱軍に皇帝陛下御不例はデマだと思わせる事が可能でしょう。例えそうでなくてもイゼルローン要塞攻略には二の足を踏ませる事が出来ると思います」
沈黙が落ちた。誰も口を開こうとしない。二万隻で六万隻の大軍に達向かう、内心では運命を呪っているだろう。

『卿の言う事はもっともだと思うが……、出来るのか、そんな事が?』
「……難しいと思います。しかし、やらなければ帝国は危険な状況に陥ります」
ミュッケンベルガーは眼を閉じて考えている。色んな事を思っているだろう、帝国の事、グリンメルスハウゼンの事……。

『分かった、已むを得ん事だ、卿の判断に任せる』
「有難うございます」
『だが、無理はするなよ』
「はっ、それと念の為ですがイゼルローン要塞に周辺で哨戒任務に就いている艦隊を集めて頂きたいと思います」
『良いだろう』

これでラインハルトとシュターデンがイゼルローンで一緒になるな。お互い不本意だろうが俺だって不本意だ。なんでこんな事になったのか、帝国はグリンメルスハウゼンとフリードリヒ四世という呪縛霊に祟られているとしか思えない。通信が切れ何も映さなくなったスクリーンを見て思った。

「グリンメルスハウゼン提督、これより作戦会議を開きます。各分艦隊司令官に旗艦への集結を命じますが」
「ああ、分かった。なるべく早く帝国に戻れるように頼む」
「はっ」
気楽でいいよな、爺さん……。泣きたくなってきた……。



帝国暦 486年 4月 13日  オストファーレン  オスカー・フォン・ロイエンタール



艦橋の空気は痛いほどに強張っている。皇帝陛下御不例、六万隻の反乱軍との戦闘。予想外の事態、そして理不尽とも言える戦力差。しかも戦って勝たなければならないという圧力。状況は極めて厳しい。そんな中、リューネブルク中将だけが不敵な笑みを浮かべている。

「このまま反乱軍に包囲されるのは愚策ですね」
ヴァレンシュタイン参謀長の言葉に皆が頷いた。
「となると急進して各個撃破、ですか」
「ええ、それが最善だと思うのですが……」

ヴァレンシュタイン参謀長とクレメンツ副参謀長の会話に皆が顔を見合わせた。言うは容易い、しかし現実に可能なのか……。戦術コンピ
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