第八話 なんでそうなるの?
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ンが報せて来ないはずはないという思いもある。しかしこの遠征軍は戦わずに撤退する事が決まっている。ならば敢えて知らせる必要は無いとオーディンは判断した可能性も有る……。皇帝陛下御不例による撤退ではグリンメルスハウゼンを軍から引き離せないのだ。
「勘違い、ではないかな」
今度はベルゲングリューンだ。髭を撫でながら周囲を見回している。何処か困ったような表情だ。
「陛下はその、何と言うか、時折体調不良になられるだろう、それをフェザーンが反乱軍に伝え、連中は大袈裟に受け取った」
皆が困ったような表情で頷いた。これも有り得ないとはいえない、二日酔いが何時の間にか重態になった……。
謀略説、勘違い説、どちらも有るな。しかし……、
「もし事実だとしたら、如何です」
俺が問い掛けると皆が深刻そうな表情をした。フリードリヒ四世は後継者を決めていない。場合によっては内乱になるだろう。拙いな、もし事実なら極めて拙い事態になる……。同盟軍がそれに付け込んでくれば……。放置は出来ない。
「オーディンに確認を取りましょう」
「宜しいのですか」
クレメンツが俺を気遣ってくれた。嬉しいけど俺が言わなきゃならんだろう。グリンメルスハウゼン老人は頼りにならん。
「グリンメルスハウゼン提督、小官がオーディンのミュッケンベルガー元帥に確認を取ります、宜しいですか?」
「ああ、それが良い、頼む」
もし間違っていたら怒られるんだけど分かって無いだろうな……、世の中は鈍い方が生き易く出来てる。
オペレーターに命じてオーディンのミュッケンベルガー元帥を呼び出した。スクリーンに元帥が映ったが表情は厳しい、良くない兆候だ。
『どうしたかな、反乱軍と遭遇したか』
「偵察部隊が反乱軍の情報を収集してきました。四個艦隊、約六万隻の大艦隊です」
俺の報告にミュッケンベルガーがホッと息を吐いた。知らない人間が見たら溜息にも見えるだろう。だが俺から見ると予定通り、そんな感じだな。
『そうか、では撤退だな』
「それを決断する前に教えて頂きたい事が有ります」
ミュッケンベルガーが訝しげな表情を見せた。予想外、かな。
「偵察部隊が収集した情報の中に反乱軍が皇帝陛下御不例と通信しているという物が有りました」
『馬鹿な……』
愕然としている。
「事実なのですね、閣下」
『……』
「司令長官閣下、では陛下は……」
グリンメルスハウゼンが悲痛としか言いようのない声を出した。ミュッケンベルガーが溜息を吐く。
『事実だ』
ミュッケンベルガーの答えに今度は皆が溜息を吐いた。
「おお、おお、何故教えて下されぬのです」
『……卿らの心を乱したくなかったのだ、提督。戦場ではほんの少しの油断、気の緩み、混乱が命取りになる』
グリンメルスハウゼンの非難めいた
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