第七話 儀式なんだ、さっさと終わらせよう
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リア、パランティアの各星系へと通じているのだ。反乱軍は我々がアスターテに行く前に迎撃したいと思っているはずだ。
おそらくは大軍をもって迎撃してくる。二倍、いや三倍だろうか……。だが旗艦オストファーレンの艦橋には大敵を前にした緊張は無い。寛いでいるわけではないが穏やかな空気が流れている。この艦隊が実際に戦うことは無い。だから提督が居眠りしていても誰も問題にしない。これは儀式のようなものだ、皆そう思っているのだろう。
そんな中で俺とビューローは何処となく居心地の良くない思いをしている。まさかあの時のヴァレンシュタイン少佐がヴァレンシュタイン中将になるとは思わなかった。しかも俺達の直属の上司になるとは……。クレメンツ副参謀長が居てくれるから良いがそうでなければ神経性の胃炎にでもなっていたかもしれない。
この艦隊に配属されて分かった事はグリンメルスハウゼン上級大将は全くのお飾りだという事だ。おそらく宇宙で一番暇な司令官だろう。今も居眠りをしているがその実務の殆どをヴァレンシュタイン中将に任せている。中将が御膳立てをして提督に許可を請う、提督はそれに対して無条件に許可を与える。それがこの艦隊の指揮運営の実情だ。この艦隊の事実上の指揮官はヴァレンシュタイン中将なのだ。
普通ここまで酷ければ何処かでグリンメルスハウゼン提督に対し侮りが出る。だが中将からはそのような姿はまるで見えない。誠実に提督を補佐している。しかし、今回の作戦でワザと撤退するというのも中将が発案したのだと言う。彼は決して誠実なだけの男ではない、そんな彼が我々をどう思っているか、寒気がする……。偵察部隊からの報告が入ったのはそれから程無くしての事だった。
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