第七話 儀式なんだ、さっさと終わらせよう
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いかないときのヤンの癖だ。
「それとも自信過剰になったかな」
「参謀がか?」
「グリンメルスハウゼン提督という可能性も有ります。だから兵力が中途半端なのかもしれない」
自信過剰か、だとすれば帝国に一矢報いるチャンスだろう。二万隻を撃破出来れば戦果としては結構大きい。
「或いは権力争いか……」
「権力争い?」
「ええ、ミュッケンベルガー元帥が邪魔になったグリンメルスハウゼン提督を我々の手で始末しようとしている」
おいおい、紅茶を飲みながら物騒な事を言うんじゃない。俺も一口コーヒーを飲んだ。
「しかし飾り物だろう、そこまでやるか?」
「邪魔になったのは参謀かもしれません。その参謀がグリンメルスハウゼン提督を利用してミュッケンベルガー元帥を追い落とそうとしたとすれば……」
何時の間にかお互いに小声で話していた。ヤンが俺を見ている、分かるだろうという眼だ。
「ミュッケンベルガー元帥は同盟軍を利用して彼らを始末しようと考えた……」
「ええ」
「おどろおどろしい話だな」
「……」
有り得ない話では無いだろう。同盟でもシトレ元帥とロボス大将の競争は熾烈だ。シトレ元帥が圧倒的に有利なだけにロボス大将は必死になっている。シトレ元帥を引き摺り下ろす為ならどんなことでもするに違いない。
「それで、勝てるかな」
「まあ油断しなければ兵力差で勝てるでしょう」
「四個艦隊か……、随分と奮発したな」
「ロボス閣下は負けられませんからね」
さりげない口調だったが厳しい事実だ。ここで負ければロボス大将は間違いなく更迭されるだろう。
だが最善を尽くしているとは言い難いのも事実だ。動員するのは第二、第三、第四、第十一の四個艦隊。精鋭と言える第五、第十、第十二を使おうとしない。ビュコック、ウランフ、ボロディンの三提督が大功を立てると競争相手になりかねないと見ている……。
「今度こそ勝って欲しいよ。負け戦はもうたくさんだ」
「そうですね、自分もそう思います」
帝国暦 486年 4月 12日 オストファーレン ハンス・エドアルド・ベルゲングリューン
「そろそろ報告が有ってもおかしくはありませんが……」
「そうですね、そろそろ有ってもおかしくはありません……」
ヴァレンシュタイン参謀長とクレメンツ副参謀長が話している。我々参謀が頷く中、グリンメルスハウゼン提督は指揮官席で居眠りをしていた。なんとも長閑な光景だ。反乱軍が迫っている等とは欠片も思っていないのだろう。
遠征軍はヴァンフリート星系を通過しアスターテ星系に向かっている。偵察部隊を出しているが今のところ反乱軍の動きは分からない。しかしそろそろ何らかの動きが有るだろうという事は皆が分かっている。アスターテはエル・ファシル、ダゴン、ドー
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